アニマル泉

新宿泥棒日記のアニマル泉のレビュー・感想・評価

新宿泥棒日記(1969年製作の映画)
4.5
アナーキーでアングラでエネルギッシュ。才気煥発な大島渚が70年代の新宿を描く、いかにもゴダール以後の作品だ。
大島は「赤」だ。本作はモノクロ・パートカラーだが赤を表現する所はカラーになる。赤いドレス、処女の血、赤い着物、赤テント。テキストの挿入やオフサウンドの活用はゴダールの影響が強い。
新宿が主役である。西口や紀伊國屋書店や花園神社がメインの場所だ。配役は大胆だ。横尾忠則、田辺茂一紀伊國屋社長、唐十郎率いる状況劇場の豪華メンバー、それに佐藤慶、戸浦六宏、渡辺文雄の大島組、やりたい放題である。
トップカットは時計が割られて針を壊す。ラストシーンは「新宿騒乱」事件の交番のガラスを割られる場面で唐突に終わる。70年代の「政治の季節」の熱気と空気が充満している。
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