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はちどりのolnのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
3.8
知っている人のうち、本心がわかるのは何人?

家庭でも学校でも居心地の悪さを感じているウニ。
仲の良い親友が1人いて、彼氏がいて、少し悪いことをして過ごす1994年の中学2年生。

世の中は男尊女卑。きっと自分も母のようになるのだろうと落胆する日々。
塾講師ヨンジとの出会いをきっかけに、籠の中で閉じた世界から飛び出そうと、必死に羽ばたきます。

どうせ誰もわかってくれない。どうせ何もできない。世界に対して、自分の無力さを痛感する年頃。
何もできないと思っても、指は動かせる。




感想です。

手放しで「面白いっすよ!みんな観て!」とか言えるタイプの作品ではないですが、共感できる部分も多々ありました。「文句ばっかり言ってんだけど、結局のところ大人に守られてんだよなー」という俯瞰視点で観ていたのに、「いやいや、こっちの気持ちも察してよ」と、グッと引き寄せられます。

てか、男尊女卑 酷すぎません?母親と叔父の大学エピソードは、もしかしたら日本にもありそうですが、DVでウニが糾弾される謂れは無いですし、姉ちゃんも経験あるのね、、という目つきをしていました。そんなだから反発するんじゃんね。
竹刀とかも充分やめてほしいけど、ゴルフクラブはマジで危ないから!ダメだから!韓国の男共、頭イカれてんのか?と思いました。

そんなフラストレーションが溜まる中、大したことじゃないから気にすんなと散々言った挙句、やったらやったで男達はみんな無神経に「傷は?」と聞いてきます。うるせーわ、まじで。心中 察しろ。その反応もやめろ!

唯一 信用できるヨンジ先生。学生運動に参加していたものの、紆余曲折あって熱を上げるものも失くしてしまったのでしょう。この子達の世代ならと希望を託しますが、”84年生まれ、キム・ジヨン”を観た私は、この先どうなっていくのかを知っていますから、なんだかモヤモヤした気持ちに包まれます。

そして、ドアがいっぱい出てきました。冒頭からドアですし、数分おきにドアが映っていたんじゃないでしょうか。
開かないドア、開けてもらったドア、閉めないドア、開けっぱなしのドアなどなど。指が動かせれば、新しい世界へのドアも開けられるかもしれませんね。
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