Leaf

燃ゆる女の肖像のLeafのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.2
ポスターを見た瞬間、観たいと思った作品。
時折目に入るシーンのビジュアルにもますます惹かれ、ようやく上映されたので鑑賞。

望まぬ結婚を控える貴族の娘の肖像画を依頼される女性画家、閉ざされた島で生活するうちに交わす視線と生まれる感情。
そして、それらに反して訪れる物理的な別れ。

目に入ってくる"画"の力を高めるために可能な限り廃されていたように感じた過不足のないレベルの音や光。
実際のあの島での生活はあれが聞こえている世界の音であり、明かりも少なかったであろう当時に目で見る明るさなのかもしれないと彼女たちの生活を一部追体験出来るような感覚。

そして、そうであるからこそ強調される表情や動作。
わずかな変化も見逃すまいと思わせる繊細な彼女たちの眼差しや陰影の使い方も美しい。暖炉前で体を乾かすだけでこの先どんな映像が観られるのだろうと胸が高まった。
この他にも印象的なシーンはたくさん。
(草原の捜索、3人作業、集会とその後 etc...)

さらに驚いたのは少ないからこそ強く感じた音楽の力。とにかく溜めて溜めて...な作品に感じられ、満ちたときの何かが溢れる感じが言葉に言い表せない。
ラストシーン、その完成度と状況から窺い知れる感情と選択に涙が流れた。

見る見られるの関係、オルフェの物語の三者三様の解釈は面白く、そこから窺えるその人のバックグラウンドと感性。内を知ることにより湧く好奇心とさらにその先の感情。
とにかく絵画のような作品で、静かな映画ですが映し出される画が美しすぎて、大きい画面で観て良かったと強く思う。
Leaf

Leaf