試写会にて
劇場で最も寝た映画は『聖杯たちの騎士』
寝て最も後悔しなかった映画も『聖杯たちの騎士』
哲学的で映像で表現できるマリック監督は好きだが、
3時間弱の今作は記録更新を覚悟で鑑賞
予想外のどストレートでシンプルで極めて分かりやすい作品だった
セガンティーニの絵画にジョージ・エリオットの詩があれば粗筋不用
何故、今、これを撮ったのか、これを考えることが最も大事な映画
事前情報ゼロで鑑賞したが、直ぐにメッセージが明確になり、
そこからは、ひたすらそれを描き続けるのみ
社会や常識や空気に従うことが常態化した人間は、思考停止している
ことすら意識できず、結果的に無意識に悪に加担してしまう
質の悪いことに、自分達はルールに従っている、お国のために戦っている
と自己正当化して、正しいことをしていると、従わない者を排除する
常識やルールに従うのではなく、己の良心に従う、
ことが無意味で愚かでしかない戦争を止める唯一の手段
武器を手に戦う兵士よりも、良心的兵役拒否をした者の方が、
圧倒的に闘っている
絶望とは、希望を持てないことであり、終わりが見えないこと
主人公の絶望の闘いの苦しみには、終わりがなく、
それを描くには何時間あっても足りない
映画は始まる前に終わりが約束され明示される表現方法なので、
この題材を描くには商業的に不利な3時間を選択したのは理解できる
しかし、何度も何度も繰り返される苦しみを見せられる内に、
観客が抱くべき怒りや様々な想いが睡魔に負けてしまう
今作は、マリック監督お得意の映像美というより、自然の雄大さや美しさや神秘性が伝わる
マリック監督作は、面白くないのはわかっているが、観ていく