PaoloSorrentino

名もなき生涯のPaoloSorrentinoのレビュー・感想・評価

名もなき生涯(2019年製作の映画)
2.1
試写会にて

劇場で最も寝た映画は『聖杯たちの騎士』
寝て最も後悔しなかった映画も『聖杯たちの騎士』

哲学的で映像で表現できるマリック監督は好きだが、
3時間弱の今作は記録更新を覚悟で鑑賞

予想外のどストレートでシンプルで極めて分かりやすい作品だった


セガンティーニの絵画にジョージ・エリオットの詩があれば粗筋不用


何故、今、これを撮ったのか、これを考えることが最も大事な映画


事前情報ゼロで鑑賞したが、直ぐにメッセージが明確になり、
そこからは、ひたすらそれを描き続けるのみ

社会や常識や空気に従うことが常態化した人間は、思考停止している
ことすら意識できず、結果的に無意識に悪に加担してしまう

質の悪いことに、自分達はルールに従っている、お国のために戦っている
と自己正当化して、正しいことをしていると、従わない者を排除する

常識やルールに従うのではなく、己の良心に従う、
ことが無意味で愚かでしかない戦争を止める唯一の手段

武器を手に戦う兵士よりも、良心的兵役拒否をした者の方が、
圧倒的に闘っている

絶望とは、希望を持てないことであり、終わりが見えないこと

主人公の絶望の闘いの苦しみには、終わりがなく、
それを描くには何時間あっても足りない

映画は始まる前に終わりが約束され明示される表現方法なので、
この題材を描くには商業的に不利な3時間を選択したのは理解できる

しかし、何度も何度も繰り返される苦しみを見せられる内に、
観客が抱くべき怒りや様々な想いが睡魔に負けてしまう

今作は、マリック監督お得意の映像美というより、自然の雄大さや美しさや神秘性が伝わる

マリック監督作は、面白くないのはわかっているが、観ていく
PaoloSorrentino

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