終わり方に救いがなさすぎる。
でも、それこそが監督のメッセージ
なのだろう。
見終わった後、劇場内の初老の観客から
深いため息が漏れた。
働けば働くほど時間と自由を奪われ
家族に溝が生まれる。
もがけばもがく程、引き裂かれる。
そんな無限ループの中
ささやかな優しさと思いやりで
寄り添おうとする夫婦、親子…
すべてのシーンに散りばめられた
リアルな息遣いと飾り気のない台詞に
息が詰まりそうになる。
それでも前を向いて生きていくしかない
誰のせいでもない…
時につらく苦しいのは
あなたが懸命に生きている証。
そう語りかけて、その答を
観客に預けたまま静かに去っていった。
新年早々見るには重い作品だったが
これから出くわす現実の様々な場面で
その一つ一つを咀嚼していくのだろう。
2020年の年頭、
大きな宿題を受け取った気がした。