このレビューはネタバレを含みます
30歳目前、幼馴染だけどどことなく距離があった2人がキスしたことで、友情の中に眠っていた衝動が静かに熱狂する。
未熟な友人から距離を置きたいマティアスと、外国へ旅立つマキシム。
悲しいことに、離れていってしまう毎に2人の心は引き寄せ合ってしまう。
友情を超えた愛なのか、愛情を超えた友情なのか。
この2つは紙一重な感情。
そして心が晴れやかになる爽やかなラストカット。
あの瞬間、仲が良かった子供時代の2人の姿が見えた。
好きな友達が家の前に迎えに来てたときのような、純粋に湧き上がる喜び。
ドラン自身も30歳になったが、初期の頃の作品ぽさを残しつつ、彼の年齢と共に登場人物も歳を重ねる。
だが10代も30代も、親に縛られる苦しみがあり、自身のセクシャリティに揺れ動く。
監督作品は毎度期待を裏切らず、才能は留まることを知らない。
心に居続ける繊細な一作。