未島夏

鵞鳥湖の夜の未島夏のレビュー・感想・評価

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)
3.7
※Filmarksオンライン試写会にて鑑賞



逃走劇としての緊張の糸が終始張り詰める中を、掠めては消えていく愛のような何か。

決め決めなカットの連続の中に点在するユーモア(結構笑える)が作品とキャラクターに不思議な愛着を持たせながらも、凄惨で容赦のない展開を地続きに描写していく事で人間の蘞さを際立たせる。



主人公とその妻の夫婦関係がどう築かれたかの提示と、それに触れるヒロインのリアクションが少ないが、あくまで夫婦ではなく男と女の関係性にフォーカスされた物語である事を強調し、それ故に機能するラストシーンも用意されている。

ノワール的造形で進行していく中、劇中唯一と言ってもいい様な表情を見せて締めくくるそのラストは、夜の暗がりを走り抜けた後には眩しい。
未島夏

未島夏