Norisuke

明日の恋の見つけかたのNorisukeのレビュー・感想・評価

明日の恋の見つけかた(2019年製作の映画)
3.8
静かな隠居生活を送るエド・ヘムスラーの日課は、ニュースを見て時々幻聴を聞き、インターネットの掲示板をのぞいてコメントを貰い、スーパーで買い込んで世界の終わりに備えること。大災害に備える“プレッパー”を自称するエドは常に未来のために備蓄を続け、目の前のことをおろそかにしがちだし、体の衰えから目をそらし、成長した息子とはケンカばかりしている日々。そんなエドが、あるときロニー・マイズナーと出会い、彼女はどこか人と違うと感じる。心に重荷を抱えながらも、驚くほどに惹かれ合い、幸せに過ごしていたが、お互いの秘密を知ることになり…な話。
熟年カップルの映画って、久しぶりのような気がする。BGMに独特の浮遊感があり、環境音っぽいというか、未来的な感じなのも、プレッパーなエドによく合ってる気がする。
プレッパーも溜め込み症も、最近よくみられるエッセイマンガ映画のようにやたらと誇張したりギャグ風味で描かれるのではなく、あくまでもエドとロニーのひとつの個性としてさらっと描かれているのが良い。エド親子の喧嘩のシーンでは、ああ、実際にこういうので困ってる家庭ってあるのかなぁ…と感じさせられるほどにリアルだった。
日本では老人同士の恋愛ってタブーっぽいところがあるけれど、お互いに独り身であるなら別に、誰に迷惑がかかるわけでもないのだからしてもいいんじゃないかと思う。ロニーの仕事仲間やエドの息子の妻の言葉が優しく、高齢者でも一人の恋愛する者として尊重しているところは新鮮だった。
現実的な純愛物語として進んでいたのに、あのラストには度肝を抜かれた。でも、そこから先のカップルの絆が感じさせられる最後だったので、よかったかもしれない。
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