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フリー・ガイのdeenityのレビュー・感想・評価

フリー・ガイ(2021年製作の映画)
4.7
2021年、とりあえず目標の100本達成しました。と言っても劇場には圧倒的に足を運べなくなったのが歯痒いですが、今の生活スタイルだとこれが限界のラインかと。そこを補ってくれるサブスクは本当に様様でした。
まあ物足りなさはありますが、とりあえずは満足ですかね。結構今年は当たりに出会えた年でしたし、韓国映画やヤクザ映画にも多少手を広げることができたのがよかったですね。

そして本作。上映当時はあまり注目してませんでしたが、かなり好評ですよね。ライアン・レイノルズ演じるガイはゲームの世界のモブキャラで、自己のアイデンティティと向き合っていく作品。

まず本作の魅力の一つとして世界観の素晴らしさですね。最初は街並みやゲーム内での行動も含め、「グラセフ」みたいな世界観なんですよね。そしてモブキャラらしくありきたりの毎日を過ごしていく日々。当然そこに何も疑問も持たないわけですね。
しかし、本作においてのキーアイテムのサングラスをかけてから世界が一変しますね。サングラス=プレーヤーの象徴なわけですが、サングラス越しの世界というのがまさにゲーム的な夢のある世界観なんですよね。道端にアイテムが落ちてるとかイルミネーションに輝く各スポットや自分のゲーム内でのレベルがあるとか。
ゲームにありがちなあるあるなんかも含めて結構芸が細かく笑いどころもあって、まさにゲームならではの世界観が味わえるのは本作の最大の娯楽性の高いポイントだと思います。

また、ゲームだけでなく結構映画ファンならテンションぶち上がるシーンがあるのは見所ですよね。配給会社がディズニーってのもあり、クライマックス時のあれは興奮しますよね。
だから『レディ・プレーヤー1』なんかとは類似点が多いと思いますし、作品的な要素でいえば『ゼイリブ』とか『トゥルーマンショー』とかが近いようにも思いますし、結構そういう楽しみ方もできる作品ですね。

でも本作がこれだけ好評を得たのはやはり作品としてのメッセージ性の部分だと思います。
「自分とは何者か」ってほどの哲学的な小難しい話ではないのですが、自分の生きてる世界がゲームという作られた世界であり、その中の主役ですらないという事実を知っていく中で、作られた自分、作られた世界に絶望していくガイ。それでも自分がどう生きていくのかを問いかけるような内容にはシンプルに共感を生むものがありますね。
そしてその上で欠かせないのが、親友のバディが言った「自分がリアルじゃなくても、困ってる親友を助けようとしているこの瞬間はリアル」という言葉。
デカルトの「われ思う故に我あり」的だとか言い出すと一気に哲学的になってしまいますが、自分が生きることへの価値を見出す上で、自分というリアルな存在に目を向けることの大切さを実感させてくれるようなメッセージが突きつけられる作品でした。

堅苦しくなってしまいましたが、簡単に言えば万人が楽しめる娯楽作品にここまでのメッセージ性を加えたのが素晴らしいということですかね。
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