肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

カブールのツバメの肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

カブールのツバメ(2019年製作の映画)
3.7
タリバン占領下の2組の夫婦の対比ではなく倍増して畳み掛ける絶望の、柔らかいタッチがさらにゾッとさせるアニメーション
因習の憎悪と救いのチャドリ(衣装)

※チャドリとは、チャドル、ブルカ、ヒジャーブと呼ばれるイスラム圏で全身を覆い隠す黒または青などの装束(ベール)のことを言います。

これがアフガニスタンの事とはいえ、1998年の事を描いてるってことに衝撃を受けるんですよね…
娼婦を"石打ちの刑"として民衆一人一人が処刑するという事実?
このシーンで思い起こされるのが、聖書内でイエスが姦通の罪で石打ちにされる女と民衆に対して
「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」
と言って女が救われる逸話。
当然、この映画では死刑が実行され、若カップルの男は疑問を持ちながらも石を投じてしまいます…
イエス誕生の初期の絵空事が約2000年以後にも行なわれているという衝撃…

この映画は本ッ当に重苦しく2組の中年と若夫婦のタリバン下の"女の処刑"について描かれるアニメです。
その作画は、線の太い、水彩画と油絵と水墨画が合わさったかのような世界規模でなかなか見ないタイプのアニメーションです。
例えるなら、ジブリの『かぐや姫』が雰囲気が近いですが、それをフレンチアニメ塗りにして中東事情を描くというなんとも不思議な感覚にさせるアニメです。

中年夫婦の抱える事情、若年カップルの陥ってしまった最悪の事態で両者が繋がっていくのですが、両方とも夫は妻想いではあるんですよね。
だが中年の方は、その国の"男尊女卑"に塗れた社会体制の思考が染み付いて"ナチュラルに"差別的な発言を浴びせるんですよね…その極自然な演出が非常に怖い…

だから若い世代がその国において唯一の希望という、イスラムの宗教然とした民族衣装のチャドリについて懐疑的に描き、痛切な結論へと導かれていきます。

その手があったか!というマジックのような出来事でも、ただただ幸せを祈られずにはいられないカタルシスと無縁の世界がありました…