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朝が来るのdeenityのレビュー・感想・評価

朝が来る(2020年製作の映画)
4.0
一応節目の1200本目。と言っても1000本超えると100本目の節目に見る映画も前ほど達成感はなくなってはいるけれど、これからも着実に見ていきたいと思います。

そんな本作は一応以前から高評価の噂から興味のあった本作。永作さん主演で子どもの親の問題とかだと『八日目の蝉』を思い出しますが、養子縁組として引き受けた子どもを返してほしいと迫られる辺り、それとはちょうど真逆にあたるといったところですかね。
井浦新との間に子どもができず、養子もらって育てていくと、突然「子どもを返してくれ」と訪問者が現れるわけですね。正直前半の展開も含め、この二人が主人公だと思っていたのですが、本作の実質的な主役は蒔田彩珠でしょうね。

初見の女優さんでしたが、14歳の母親役を務め、その静かな葛藤を見事に演じきっていたと思います。静かで、だけど激しく、心の中で強く抱く我が子への思い。親との対立とかももちろん親の気持ちもわかりつつ、しかしそれに反抗してしまう彼女の思い。それらがひしひしと伝わってくるからこそ、言葉以上に気持ちが伝わってきました。

あとは光の使い方もよかったですね。多くを語るよりもこういった演出一つで明暗や感情を表現するのも映画の醍醐味だと思いますし、見事な演出だと思います。
こういう静かで繊細な演出が邦画の魅力でもあると思っているので、もっともっとそういう作品に出会えるように他の作品も見ていこうと思います。
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