ニトー

クィーン・コングのニトーのレビュー・感想・評価

クィーン・コング(1976年製作の映画)
-
吹き替えで遊びすぎていてもはやビースト・ウォーズなんて目じゃないくらいで。

いや、チープとか言われますけどそれなりに特撮は観れますよ。何故なら作品そのものが極めて卑俗的だから。

いや、まあ、そういう意地悪な言い方はせずとも、結構観れると思うんですよこの特撮。だって日本に入ってきたのは21世紀でしょうけど製作年は76年ですから。違和感がないのは、画面の質感がそのまんま70年代だからであり、そこで用いられる特撮技術と合致しているからなのです。

「阿吽」と真逆のアプローチである、というような視線で観れるというか。

ていうか、今見てもそりゃまあ多少はチープかもしれませんけど全然観れるレベルの特撮だと思いますです。


また、この映画は計算されて作られているあたりの賢しさも見える。
ホットパンツの女性のドアップだったり、ともかく序盤は女性の露出度の高い姿で(男性)観客の興味を誘引するような仕掛けになっていて、しかしコングが登場してからはそういうのはなりを潜めてくる、というあたりは結構用意周到だと思いますです。

オリジナルの製作は76年なんですけど、吹き替え声優の挟んでくる小ネタが90年代のものがあったりするので、すごいタイム・パラドックスがあるなーと思ったら日本に入ってきたのが2001年。

うん、まあ吹き替えのテンションで観ないと厳しいかもしれないとは思いますけど。
しかし吹き替え、というのはやはり映画の観賞方法の一つとして重要なのだな、と改めて想ったりする。

それにしても前述のような女性のエロで釣っている(クイーン・コングの乳房と乳首にだけ毛が生えていないのは腹が立つんですけど)くせに、まるでフェミニズムを掲げているような展開になる(一応、冒頭から女性の力をアピールしていたりするんだけど)あたりの倒錯っぷりもなんか癖になる。

いやもちろん、フェミニズムに対するアンチテーゼだと解釈するのがまっとうな見方なのだと思いますが・・・わからない。

60年代後半から70年代前半にかけてのウーマン・リブに影響を受けた部分もあるのかもしれませんが・・・とかそれっぽくガチっぽく語るよりもやはり一本のおバカなカルト映画として語るのがこの映画にとっても観る方にとっても幸せなのではなかろうか。

広川さんだけでなくほかの声優陣の小ネタまで拾っているときりがないので、百聞は一見に如かずということで吹き替えを見ることをオヌヌメします。

いや、結構好きですこの映画。
ニトー

ニトー