中心のない映画。今まで観たギヨーム・ブラックでは一番好きかもしれない。森林を開発したパリ郊外レジャー施設での点景に『女っ気なし』『みんなのヴァカンス』のような非リア充は出てこず、若者は男女問わずリア充しぐさでナンパばかり。いつも思うんだが男の子はいいとこ見せたいのかわざと危険なことしたりアクロバティックな何かに挑戦しがちだが、女の子はそういうので本気で「すごい」とは思わないと思う。「すご〜〜い」とは言ってくれるだろうが。蛇足。しかしチャラ男のスタッフが馬鹿なことや危険なことをして「生きてるって感じがする」と嘯きながら「いつまでこの仕事ができるんだろう。自分にはここでのコネしかないから離れたらどうなってしまうのか」と不安を滲ませる。地元サイコーのマイルドヤンキーはこんな心境なのだろうか。
点景をほのぼのと見届けていると、やがてそこが経営と気候とのせめぎ合いでコントロールされる経済資本であること、管理された「自然」「冒険」であること、そしてそこに関わり居合わせた人たちの来歴によって、巨大なプールに集う様々な人生があることが少しずつ明らかになる。政治家にむかって率直な意見を述べたら教職を追われた挙句収監されたギニア出身の夜勤スタッフ。30秒遅かったら銃殺されていたというアフガン人のレジャー客。
上手に遊んであげたり色の名前を教えたりしてる10歳くらいの兄と3,4歳くらいの弟。このお兄ちゃんが素敵だった。最後『砂の女』みたいな風景だったらどうしようとちょっと思った。