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夏、至るころのmuraのレビュー・感想・評価

夏、至るころ(2020年製作の映画)
4.0
毎週欠かさず聴いているラジオ番組がある。リリー・フランキーの『スナックラジオ』。ここに池田エライザが出演し、みずからが監督した映画について、ときおり向けられる下ネタ話をかわしながら話していた。それでこの映画を見ることに。

これはどこだ…と思ったら、田川だった。この伊田というシャッターが下りまくった商店街をむかし歩いたなと。JR日田彦山線から平成筑豊鉄道に乗り換えるときに少しだけ。魅力的な場所だった(僕にとっては…)。

高校3年生の翔。幼い頃から一緒に和太鼓を叩き、背中を追いかけてきた友人の泰我が和太鼓をやめることに。受験勉強に集中するためで、大学に進学して公務員になるという。一方で翔は今後どうすべきかわからず、そもそも幸福とは何かといったことばかり考えている。対照的なふたりはすれ違うようになり、ついには衝突をおこす。そういったときに会ったのが、東京からやって来た都。ふたりは都とともに夜の学校を訪れる…

池田エライザって24歳だと。その年齢でこれを撮るのか…。泰我の出自がフィリピンとされているが、みずからと重ね合わせてのキャラクターなんだろう。この泰我は、好きなことを捨ててまで将来の安定を求める。それに対して翔は、本当の幸福とは何かを探し求める。池田エライザの子供の頃からの思いや葛藤が伝わるようで。

冒頭から田川のことを述べたけれど、この映画はとにかく舞台となる田川に惹きつけられる。持論として、人間と場所が魅力的に描かれている映画はいい映画だと。

で…、カレーにチロルチョコを入れていたな。さすが田川。
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