えいがうるふ

マイ・エンジェルのえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

マイ・エンジェル(2018年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

噂に聞くコート・ダジュール版フロリダ・プロジェクト。なるほどと思ったが個人的にはフロリダのような映像美で心癒やされるシーンも乏しく、冒頭から唖然とさせられる母親のキャラの酷さはこっちの方が明らかに数段上なので胸糞な印象が強く残るばかり。マリオン・コティヤールのビッチ母ぶりがあまりに板についていて本気で嫌いになりそう。
そして登場する子どもたちも、とんでもない悪ガキなのは一緒だがこちらはさらに可愛げがない。いや、顔は可愛かったりするのだが、無邪気な頃を過ぎてさらに嫌な方向に成長しているのが見ていて辛かった。特に主人公の娘エリーはこの母にしてこの娘ありとでもいうか、生きる術として見知らぬ男に媚びて甘えるかと思えばいっちょ前にビッチらしく理不尽に振り回してみたりして、その痛々しいほどのコピーぶりが同性として非常に悲しく不快だった。もちろん、彼女に罪はない。
エリー役のエイリーヌちゃんはあどけない表情を見せるかと思えば、え?いきなり何年か経過した?と焦るほど大人びて見えたりして、天才子役というか魔性子役。先々が恐ろしくも楽しみ。

残念な事実として、可哀想な境遇にある全ての子どもが皆可愛らしくいたいけな存在であるはずはなく、そう見せる映画が多いのは見る側の願望に沿って映像化された一種のファンタジーに過ぎない。育てたように子は育つという通り、むしろ親子ともに容赦なく胸糞に描かれたこうした作品のゲッソリ感こそがリアルなのかも知れないが、その一方で、この作品の展開はまるで現実味がない。母親が消えた小学生が一人でどうやって日々の生活を凌いでいたのかは都合よく描写から省かれているし、あの小さい身体で強い酒を常飲してもなぜか無事だし、これでは親目線で子どもの身の上に感情移入することもできず、ただただ、巻き込まれて振り回される男が気の毒だった。