Oto

犬王のOtoのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
3.7
「スタジアムロックミュージカル」というか、「アヴちゃんの時代劇MV」というか。

クイーン、ディープパープル、ジミヘン…実際のバンドからの引用も多くてロックファン的にも楽しめた。エレクトリックな音がするのはどうなんだろうと思うけど。
ミニシアターで観たけれど、『竜とそばかす』以上に飲み込まれるLIVE感はあったかもしれない。

鑑賞時の精神状態がかなり悪かったのと、観てから時間が経ってしまったこともあって、ディテールをあまり覚えていないけど、「ここにいるぞ」という証明が表現者が行なっていることで、人が愛する表現にはその人の思想とか政治が大いに反映されるものだと気付かされた。
無視できない存在になることで権威に取り込まれるという危うさは、まさに最近もKing gnuが体現していた。

生命を感じさせるグロテスクな表現など、源流はジブリにあるなと思うけど、欠損を魅力的に描くのは庵野的だし(もっと遡るなら『どろろ』?)、アニメ映画ってやはり「生死に直結するような切実さ」が大事だと感じた。

働くことを描く野木さんの強みも発揮されていたし、歴史には疎いけれど平家物語の盛者必衰も根底にあるし、よくこれだけの才能をコラボさせてしっかりまとめあげたなぁというプロデューサーの手腕がすごい。
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