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ドリームプランのRenのレビュー・感想・評価

ドリームプラン(2021年製作の映画)
2.5
not for me. 予告と前情報で「あんまり楽しめないかも....」と感じた映画にあえてお金を払って劇場鑑賞するのはそろそろやめたほうがいいなと感じてしまった....。

たまたま結果的に上手くいった約30年前の美談のような逸話をそのまま観せられて、何を思えばよいのかあまりよく分からなかった、というのが本音。勿論ウィリアムズ姉妹の功績は素晴らしいけど、それを描きたいだけの映画ではないことは明白なので。
家父長制が行くところまで行き盲信で突き進むリチャードがずっと見られると思いきや、完全に服従させている訳でもなく、かといって超純粋な愛を家族に振り撒いている訳でもなく。144分、常にリチャードが中心に居る割に彼のことが良く分からなかった。この分からなさこそが「人間らしさ」だ、とかではなく、そのまま「よく分からない」で終わってしまった印象がある。

加えて、リチャードの持つプランらしいプランは少なくとも劇中では見られない。映し出されるのは、とにかく盲信的に突き進みプロの指導者にケチをつけるビッグマウスの父親(テニス未経験)。人種差別のバックグラウンドがあることは示唆されますが、何故彼がここまで娘の成功・テニスに執着するのかが描き切れていないため、劇映画として成功していると私は思えなかった。
容認できない要素も数多くあるのに、突き進んだらたまたま成功した(ように感じる)家族を今更ヨイショすることに何の意味がある?
あと長い。この内容なら絶対2時間にできた。

ここ10年のオスカーを見ても『英国王のスピーチ』『リンカーン』『ウィンストン・チャーチル ~』『ボヘミアン・ラプソディ』と、歴史人・著名人のモノマネ演技が評価され易い中、ウィル・スミスもオスカーに有利か?ただこれが、作品賞と脚本賞にノミネートされている理由は正直かなり謎。多分今作も劇場ではなく、TVの世界仰天ニュースとかで見たら面白かったかもしれない。

映画好き界隈でたまに見る、とりあえず邦題に文句言うムーブは心底嫌いだけど、これに関しては邦題が不誠実すぎると思った。父親の独裁っぷりがハッキリ分かる内容なのだから、一見100%の美談っぽい「ドリームプラン」より原題の「キング・リチャード」「リチャードの独裁政権」の方が正しい。
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