『キューブリックに魅せられた男』と対で観ると面白さがより際立つ
『魅せられた男』は作家としてのキューブリックの天才を畏怖し、それまでの自分のキャリアを捨ててまで志願して仕え始める
一方で『愛された男』はキューブリックの映画を一本も見ていない
才能に惹かれたのではなく、わがままで寂しがり屋、駄々っ子のようなキューブリックに請われて、仕方なく生活者キューブリックに仕え始める
どちらのキューブリックも全身全霊での奉仕を要求し、付き合うのはハンパないが、どちらもが言っていることは、
大なり小なり人は一生のうちのいかほどかを、自分以外の何かに奉仕するように作られているのだということ
それが何なのか、それがどれほどの苦労を要するのかが、まさにその人の人生なのだと、この二つのドキュメンタリーはまさにその事を教えてくれた