ひゅうどんこ

今さら言えない小さな秘密のひゅうどんこのレビュー・感想・評価

今さら言えない小さな秘密(2018年製作の映画)
3.8
◎仏🇫🇷原題:『Raoul Taburin』

 南フランスの温暖でのどかな街での朗らかなお話、、かと思いきや、いや間違いじゃないんですけどね、何やら喉元にキラリと光る🗣️🗡️ものを突きつけられたままのような気に。。

鑑賞しながらだんだんと、こんな曲の1:39~1:53あたりのフレーズが、強烈に甦ってきました。
『小比類巻かほる - I'm Here』(公式チャンネルより)
https://youtu.be/nY9tDbHs7k4 (5:46)


 邦題の通り、主人公は小さな秘密に苦悶するわけですが、本人にしたら大問題!
日本トイザらスが2018年に行った調査では、成人男女の1.4%が同じ問題を抱えてるという結果が判明。フィギアスケートの羽生結弦クンも同じ問題を抱えてるそうで、意外にコトは深刻かもしれず、ましてやフランスのお国柄からしたら....ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!。

 胸に仕舞ったままの秘密や嘘。苦しいですよね。それは吐き出せない苦しさなのか、それとも過去の悪行がいつ晒されるかと恐れおののく苦しさなのか。私の場合、、あっ、やっぱり墓場まで持ってゆきますわ(*_*;。


 原作はフランスの バンド・デシネ(bande dessinée){※1} 作家であるジャン=ジャック・サンペ (Jean-Jacques Sempé) の『Raoul Taburin (une bicyclette à propos de son père) 邦題:とんだタビュラン』。

このサンペさん、本作主人公のお父さんと同じ自転車配達人(emploi de livreur à bicyclette{※2}) という仕事に、実際一年半就いておりまして、本人の生体験なんですね。
30年以上公私ともに移動手段は自転車だったとのことで、何だか晩年のアノ方{※3} と重なります。
そういうこともあってか、映画化されても溢れる自転車愛の空気はそのままは受け継がれているようです。


 さてさて、原作の舞台はボルドーの方だったようですが、ジェネリック {※4} に目を凝らすと、ロケ地は Venterol となっております。

(ヴェンテロールHPより)▷Accueil▷「Film ‘Raoul Taburin’」
http://www.venterol.net/portfolio_page/film-raoul-taburin/

ヴェンテロールは、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏(Provence-Alpes-Côte d'Azur)に属するアルプ=ド=オート=プロヴァンス県(Alpes-de-Haute-Provence)のコミューン {※5} として存在する地方自治体です。

22.75㎢の土地に241人が暮らす、人口密度 10.59人/㎢ {※6} の小さな村は、日本で面積、人口が同じくらいの自治体を探してみると、東京都御蔵島村がほぼ同規模のようでした。


 モーツァルトのトルコ行進曲の編曲をはじめとするハビエル・ナバレテの音楽も素晴らしくて、サントラあったら欲しいくらい。チークダンスのシーンで使われる曲も、シャーデーとバーシアを合わせたようなワタシ好みの感じで、何度も聴いてしまいました。


 主演のブノワ・ポールヴールド(Benoît Poelvoorde) 、こんな映画にも出てます。
(Ina Culture チャンネル様より)
「Le vélo de Ghislain Lambert" | Archive INA」
https://youtu.be/dodtQWzuBd0 (2:00)
、、、ばりばり乗れてるじゃん(^_^;)。


 今回は撮影地のヴェンテロールに注目して調べてみましたが、幾つかの図書館を渡り歩いても地図やガイドブックでの情報が拾えないほどの、小さな村でした。
けれどそこには、住む人達の歴史や文化や暮らしの楽しみが確実にあり、ワインあり、陶芸あり、トゥルー・ラベンダーやイモーテルの咲く美しい景色もあります。

こんな時節柄ですから、そんな名も知られていないような小さな村々に、ネットからヴァーチャルトラベルしてみるのもいいかもしれませんよ。

 フォロワーさんのフォロワーさんのKazuさん、素敵な作品を知ることが出来ました! ありがとうございます☺️。


┅┅┅❬余談その他❭┅┅┅
{※1}
バンド・デシネについて詳しく触れておられるものがあったので、ご興味ある方はどうぞ。 ↓↓↓   
原正人様の『ComicStreet(外漫街)』▷
「バンド・デシネ入門 - 第1回 バンド・デシネってどんなもの?」
https://comicstreet.net/discover/bd-france-belgium/bande-dessinee-introduction-1/
ちなみに、本作の原作邦訳版の定価は¥3,300となっていた。

{※2}
bicyclette と vélocipède(略称:vélo) について詳しく触れておられるものがあったので、ご興味ある方はどうぞ。 ↓↓↓
胡桃様のブログ『眠れる森のフランス語』▷「フランス語で自転車大特集。」
https://nemurerumorifrancego.com/bicycle-french/

{※3}
アノ方とは忌野清志郎その人である。彼の有名なオレンジ号はフルオーダー品。製作過程が気になる方はコチラ。   ↓↓↓
スポーツバイク つくば マツナガ様オフィシャルサイト▷職人マツナガ通信▷
「イマワノさん号製作記総集編」
https://www.sbtm.jp/contents/category/imawano/

{※4}
ジェネリック(générique)
フランス語ではタイトルクレジット(オープニング、エンディング両方)のことをこう呼ぶらしい。

{※5}
どの地域や都市に属するかを表すコミューンは、幾つかの要素で違った決定をされることもあり、ヴェンテロールはドロール県のコミューンとみなす情報もあったり、統計数値が違うなど少々複雑であることから、同一のソースからの情報で統一させて頂いた。


{※6}
INSEEが2019年12月30日に公開した
▷「Populations légales 2017
Commune de Venterol (04234)」による