ひゅうどんこ

Shall we ダンス?のひゅうどんこのレビュー・感想・評価

Shall we ダンス?(1996年製作の映画)
4.1
前回 2023年10月19日 鑑賞
たぶん今回で6回目くらい


 自らのダンスの記憶といったら、運動会のコロブチカと花笠音頭、社会人になってから参加した秘密の集会でのチークタイムくらいしか思い浮かばない🕺💃

1年半ほどの制作期間を経て本作が公開されたのは、1996年1月27日。
都落ちして九州に帰郷、家業を手伝いながら夜は毎日バイトに明け暮れてた時期だったので、初回はいつ観たんだろ?


 主人公 杉山は周防監督が当初、カッコ良過ぎるとして眼中になかった役所広司。
ダサ過ぎればクライマックスの草刈民代と釣り合わないけど、序盤の設定にカッコ良さは要らないもんね。

中年男が新たな扉🚪を開けて一歩踏み出す、そこそこたわいもない話なのだけれど、小津安二郎を敬愛してやまない周防監督の手腕によるものか多彩なキャストの名演なのか、2時間超を全く飽きさせない。



 この映画、特に作品自体への思い入れはないのに時折観てしまう上位に入っている。
それは観る度に魅力的に思えてしまう中身にもあるのだけれど、公開から数年たって作品にちなむ出会いがあったからかもしれない。

 ひとつはロケ地。

【社交ダンス】1994/4/17 ダンスホールワールド(梅田) 日本競技ダンス連盟西部総局(現JBDF西部) 西部日本選手権 アマオープン戦準決勝
https://youtu.be/DETlqW2ZwVE?si=GeYTAe8ZmbvLgeB_ (8:21)
 在りし日のワールドでの競技会の模様

2つの大切なシーンで使われたダンスホールは、大阪・梅田にあったダンスホールワールド。
かつて夜9時〜1時まで働いていた職場の眼下真正面にその建物はあった。

映画が公開されて社交ダンスにスポットがあたり、バラエティ番組でもたくさんの芸能人が挑戦。
最期の灯し火の如くワールドの中では昔の活気や熱気が甦っていたに違いない。

社交ダンス団体戦VS超星舞団 6
https://youtu.be/x1ySMLi2Eoc?si=ZnLJZECTSQ1qVs-- (8:46)
 芸能人社交ダンス部サイコーでした!


 もうひとつは社交ダンス命のオジサンとの出会い。

毎晩ワールドのネオンを眺めていた日々から10年後。
夜の仕事を卒業してたくさんの職業で社会勉強を積んだ後お硬い仕事にありついたものの、鎖骨を折って🩻まともな仕事が出来ないわたしは、他部署のお手伝いに回されていた。
そこで附いた師匠が社交ダンスオジサンだった。
エロスと社交ダンスをこよなく愛する強烈なキャラクターを持った還暦人だったが、なぜか馬が合い、2号さんとの食事の席にも呼んでくれたりもした🕺🏽

社交ダンスに再三誘われたが、その頭では大会に参加出来へんねんで、と言われた当時わたしのヘアスタイルはユル・ブリンナー🧑🏼‍🦲
そこから当然デボラ・カー共演のアノ映画の話に始まり、色んな映画の話もした。
わたしの知るだけでも彼には奥様の他にダンスパートナー兼彼女が二人、超ラテン系でお盛んなおっさんだった。


 もひとつ思い出した (( ゚д゚)ハッ!
リズム音痴なわたしに、その職場で同僚だったフィリピーナ🇵🇭エヴァちゃんが、ボックスというカンタンなステップを教えてくれたことがあった。
とても人間とは思えぬぎこちなさに、出勤していた女の子総出で手取り足取りのスパルタ指導となったが、結局出来ずじまいだった _| ̄|○

 本編主人公の杉山も最初はそんな感じである。
ヒロイン 草刈民代を含む全員が社交ダンス未経験。
役所広司はクランクイン前に相当練習して臨んだというし、草村礼子の老講師の佇まいは、とてもそれまで社交ダンスに縁がなかった人のものとは思えない。
ダニー・バーンズに憧れる竹中直人、肝っ玉母さんの合間にダンスに励む女を演じた渡辺えり子。。
俳優という仕事は、やれと言われたら何にでも化けなくてはいけない。

あらためて俳優たちのプロ魂を感じた。

【社交ダンス】WorldCup Dance1991 Latin In Tokyo Final Paso Doble Donnie Burns MBE & Gainor Fairweather MBE
https://youtu.be/RyGk6db5Mkg?si=aIa98WFOaTdEvGSb (2:00)
ドニー・バーンズ&ゲイナー・フェアウェザー

草刈民代 2009年 引退までの日々
https://youtu.be/x4j6luDe3Jk?si=DFT9WZ5EKzAExY_f (52:55)


 主演の草刈民代さん。
棒演技とみられることがある。
杉山に初めて舞が対面するシーンで、自然な笑顔を出したところ、無表情棒読みでやってくれとNGテイクになってしまったそうだ。
別の世界に棲む訳あり美女にたじろぐ中年男、、、序盤にこんな空気が作られていたからこそ、後半の味わい深い場面が生きている。

 本作は、ロマンチックな衣を纏った幸福感へのヒントだと思っている。
きっと無意識に何度も観てしまうのは、そんな幸福感にたどり着くヒントをわたし自身が探し彷徨っているからかもしれない。




。。ということで今回は2023年2月6日にさりさり@sarisarisarryさんから頂いたリクエストへのお応えでした。
有り難うございます!

※リクエスト下さっている方々、
頂戴したご要望は有り難く丁重にリスト化してますが、鑑賞の機会に恵まれてレビューする気力がある時に初めて公開するシステムになっております😂ので、順番前後する可能性も大いにアリ、ふた月み月1年2年....と気長に温かい目でお待ち下さい。