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中村屋酒店の兄弟のalmosteverydayのレビュー・感想・評価

中村屋酒店の兄弟(2019年製作の映画)
3.5
まずは冒頭、物語の前日譚をああいう形で提示してみせるのか…!と感心しました。本編開始後も様々な想像をかき立てられる良い導入部ですね。役者さんがあまり巧くないのも、古びた酒店の懐かしい佇まいやそれなりに長い間顔を合わせずにいた兄弟のぎこちなさにフィットしていたと思います(もしかしたら、敢えてそのような演技プランだったのかもしれませんが)。宮沢氷魚との「his」でこの上なく誠実にもダメ男にも見える不思議な存在感を放っていた藤原季節には、こういう謎めいた役がハマるのかもしれません。

それまでの雰囲気が一変する中盤の展開から結末にかけては、先が読めそうで読めない絶妙な演出がなされていると感じました。この監督が撮る長編作品、今後ぜひ観てみたいです。

惜しむらくは、酒店が舞台であるにもかかわらず酒への愛着や蘊蓄があまり語られることなく、むしろ煙草がキーアイテムになっていたこと。一介の酒好きとしては、もうちょい酒を推していただきたかったです…!せめて、店頭に掲げられたのぼりに記されている「東京23区内唯一の酒蔵」にだけはキッチリ触れといてほしかった。
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