公開初日がファーストデイかつ金曜日だなんて嬉しい〜!この辺りでは1週間しか上映されないとあって、雨の中いそいそ馳せ参じました。分かっちゃいたけどめちゃエネルギッシュ、ポマードとドーランを鎧よろしく塗りたくってギラギラ輝くスターは彗星や準星さえも超越し、もはやビッグバンと並び称されるまでに崇められている…!ロックンロールの礎を築いた功績の途方もない大きさとは比べようもない過小評価ぶり、とりわけ「文化の盗用」を「抹殺」と言い換えていたのがひどく印象的でした。
その主な理由として繰り返し指摘されるのが「有色人種」かつ「クィア」であった事実なのだけど、心の拠り所であり音楽的ルーツでもある信教とのせめぎ合いをもうちょい掘り下げて噛み砕いて描いてくれたらなーという消化不良感が残りました。絶頂期のキャリア中断に至る経緯を最も深掘りしてほしかったのに、いくらなんでもサラッと流しすぎじゃね?ここめっちゃ不満。二度目は分かるよ、身近な人が死んだらそりゃ心も揺れるでしょうて。最初のところを!もっと!描いて欲しかったあああ!
音楽人生のターニングポイントで3回に渡り現役ミュージシャンが歌う演出はなかなか気が利いていて、ステージに充満するエネルギーをスノードームのラメのように繰り返し描いてみせたところは結構グッときました。特に、コリー・ヘンリーが鍵盤に積もった埃をフッと吹いて弾き始めるとこめちゃ良かったです。音楽に魔法がかかる瞬間だった。
リトル・リチャードに憧れ師と仰いでスターになったポールやミックやキースが後年「あいつらのオリジナルは俺だ」と主張する彼をどんな思いで見てたのか、ちょっとくらいは聞いてみたい気もしましたけどそりゃ残酷ってもんですよね。それを言わずにいられないほど長らく彼を軽んじ続けた界隈が悪い。それでも何とか生きてる間にちゃんと評価が追いついてくれてよかったな、と思いました。フルハウス出演時の映像なんかも出てきてちょいちょいクスッとさせられたのが嬉しい。