えるる

劇場のえるるのネタバレレビュー・内容・結末

劇場(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

めちゃめちゃ好きな映画だった。
理想ばっかり無駄なプライド持ちの夢追い男が大好きな彼女の好きを搾取してしまい壊してしまう話だし、ダメ男を好きになって甘やかしていまい自分が擦り減るのが分かりながらも離れられず時間も気持ちも消費していまう話でもある。2人の出会いから別れまでが淡々と流れる様だが若い時の恋愛としてとてもありがちで身近なストリートだからこそ共感できる。最初の頃の楽しかったあの時もあの人も今はもう戻ってこないと分かっていながらも離れられなかったり、本当は大事に思っていながらもそれを表現できないもどかしさ。

サキちゃんが「ながくんは私を褒めたことがない」と言った後、これからの事で話があると送ったがながくんから返信がなく、サキちゃんは店長の家で不貞が起こっても良いと思ったと思う。もうやってやれって。そんな時に限って彼は来ちゃうのよ。シカトこくわ大事にしてくれない癖に裏切らせてもくれないの。普段すぐ怒る癖に帰り道に何も聞かないし責めもしないで、ただただ喋り続けるわ、褒めてくるわ、お出かけなんかなかったのに桜見に行こうとか言い出すわ。離れさせてくれよと思いながらも離れられない女の弱さをよくお分かりなクズの怖さ。

ながくんがサキちゃんを好きなのはわかる。だけど大事にしていたかと思えばそうでもなくて自分がどれだけ甘えていたのかという事は失ってからじゃないと気付けない。サキちゃんもダメヒモながくんとの生活の為に頑張る事は全然良かった。だけど同棲を解消して連絡もイマイチ取れない、いつ勝手に来るかわからない彼を待つ事に疲れて自分が彼のなんなのかわからない状態の方は耐えられなかった。
「ここに帰ってくるから許せてたんだよ」って台詞が以前の自分と被って辛さがフラッシュバックしてしまった。

成田凌のグス役が好きだが山崎賢人のクズ役も良かった。松岡茉優ちゃんが好きなのもあるがやはり演技力は凄いと思う。

「花束みたいな恋をした」が好きな人は好きだと思います。特に大きな事件や裏切りが起こるわけでもない出会いから別れ。恋人達の2人だけにしかわからない感情を覗き見させてもらっている様な映画です。
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