茶一郎

ハスラーズの茶一郎のレビュー・感想・評価

ハスラーズ(2019年製作の映画)
4.1
 女性ストリッパーがイケ好かないウォール街の男共から金をブン獲る。
 タフでラフな『オーシャンズ8』が本作であり、主犯のモノローグで語られる爽快スピーディーなルックは被害者逆転版『ウルフ・オブ・ウォールストリート』、女性ストリッパー版『グッド・フェローズ』な本作『ハスラーズ』です。


 2016年から印象的に作られてきた、作劇において表面上の「男女」を入れ替える「集団女性モノ」×実話といった具合の『ハスラーズ』ですが、本作は圧倒的に肉体の作りこみが他の作品とは大違い。
 作品全体で、一日PCと電話の前にいるナヨナヨしたウォールストリートの男共とは一変して、毎晩、ポールダンスというアクションをする女性は肩幅から、背筋から、何から何まで筋肉質で美しい。これぞ女性が「主導権」を握る本作の男女逆転の世界。

 特に作品の主導権を握るマザー、ジェニファー・ロペスが、観客と主人公に一つ一つご丁寧にポールダンスの技をイントロダクションする序盤のシークエンスは、アクション映画の迫力を超える、MGMミュージカルに近い「体技」の素晴らしさを目撃します。

 もちろん犯行チームが逮捕された実話であり、語り手が取り調べ中の主人公という事で短い映画に壮大な栄枯盛衰を見ます。
 これぞ『グッド・フェローズ』的ですが、その栄枯盛衰に「母性」、「母親」が絡むのも男女逆転の世界『ハスラーズ』だからこそかもしれません。
茶一郎

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