りんと

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジのりんとのレビュー・感想・評価

4.3
実を言うとMARVELよりもDCコミック派なんですが、「ヴェノム」は大好きです。

こういったヒーローアクション、とりわけ漫画原作のタイトルで懸念される点が、一作の情報量がとにかく多くなることです。
なぜヒーローとなったのか、どういう能力を授かったのか。恋人や家族に正体を明かすのか秘密にするのか、それによってどういった影響が出るのか。プライベートとヒーロー業は両立できるのか。敵は何者でどこからきたのか、目的は何なのか。
漫画であれば、数回の連載に分けて全てを説明することはできますが、初動の映画だけでこれだけの情報を詰め込むには、最低でも2時間弱の尺が必要、それでも足りないくらい、というのが最近の暗黙の了解になっている気がします。
だからこそ、映画を観終わった後に「ここわからなかったんだけど原作だとどうなってるの?」という疑問を抱く人が少なからずいる訳です。

ですが、ヴェノムについては、他のMARVEL作品に比べて、設定とストーリーが圧倒的にシンプルに感じます。
突き詰めると、要は『持ち主と共生して力を与えるシンビオート』というベースの設定と『今作の敵の目的』さえ把握できれば、それ以外の情報はさして重要ではなく、例え全ての情報を処理できずともストーリーに没頭できます。

中でも【主人公も敵も自分と同じ力を持っている】点は、特に大きなポイントです。武器に変化したり触手が出せたりとそれぞれに個性はありますが、物語を複雑にするほどの情報量はありません。この構図があるだけで、敵味方の能力を事細かに説明する必要は無くなり、それ以外の情報をより丁寧に描写できます。

今回の続編に関しては、上記の利点があったからこそ、キャサディとシュリークのバックボーンをより丁寧に描写する尺的余裕があったとも言えます。それ以外にも、エディとアンの微妙な関係と、長年の親友のようにエディに文字通り寄り添ってくれるヴェノムとの軽妙なやりとり…など、必要最低情報が少ないが故に、それ以外の部分をより魅力的に描写できているのだと思いました。

理屈っぽく書きましたが、とにかくシンプルでCGもすごくて面白いので、皆さまもぜひ。
りんと

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