りんと

シン・仮面ライダーのりんとのネタバレレビュー・内容・結末

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

※かなり長文になるうえに否定的な意見を含みますので、読むのダルい方や本作が大好きという方はそっ閉じしてください。


先に書いておくと、昭和仮面ライダーはそこまでしっかり視聴していません。
1号、V3、アマゾン、ストロンガー、ブラック&RXを飛ばし飛ばしと、平成ライダーはフォーゼ以外、令和はゼロワンとギーツ視聴者です。

ネタバレ有りで個人的に良かった・微妙だと思うポイントを羅列していきます。

良かった点
①サイクロン号やスーツのカッコよさ
②戦闘シーンのCGの迫力
バイクの変形やスーツのエフェクト、空中戦闘やライダーキックの挙動は、さすがのCG技術、見応えがありました。

③初代や特撮、庵野監督作からのオマージュ
登場人物の名前やキャスト、怪人のデザインなど、随所にニヤッとできる情報があって面白かったです。

微妙な点
①扱うテーマの古臭さ
本郷猛の優しい性格ゆえの「ヒーローとして戦う苦悩」というテーマが主軸にストーリーが展開するわけですが、この手のテーマは昨今様々な作品で描かれており、はっきり言ってもう食傷気味かなと…汗
結局は「大切なものを守るために戦う覚悟を決める」という親の顔より見た展開になるのがわかってるし、他の仮面ライダーや戦隊、ウルトラマン、果てはMARVELでもDCでも同じテーマで描かれた作品があるので、今更そこにフォーカス当てられても…と感じずにはいられませんでした。
とは言え、上記のテーマを描いた先駆け的な作品がこの「仮面ライダー」というコンテンツだと思うので、ストーリーとしては妥当かなと思う気持ちもあります。

②キャストの演技感の違い
男性/女性のキャストによって、演技感が大きく異なることが気になりました。
本郷役 池松さんは不器用ながら優しさが滲み出るような無骨な演技、立花役 竹野内さんは政府の人間のテンプレートのようなお堅く底知れない印象で、どこかこれまでのゴジラやウルトラマンにも似通った雰囲気だったかと。
一方で、ルリ子役 浜辺さんはアニメキャラかのような台詞回しや間の取り方、オーグ役の長澤さん&西野さんは昭和怪人のような仰々しい演技。男女のキャストによって温度差が激しすぎて、話に全然集中できませんでした…
もちろん、ゴジラの石原さとみさん、ウルトラマンの長澤まさみさんなど、これまでの庵野監督作では明らかに周囲から浮いている人物も描かれており多少の温度差はあったのですが、今回はかなりキツかったですね……

③実写アクションのショボさ
キャストにスーツアクターをさせるのはいいとして、なまじ前述のCGアクションが素晴らしかった分、実写のアクションシーンは…ちょっと見てられなかったです…
本作は被写体に合わせて手ブレ演出で撮影する手法が多用されていましたが、それが全く合っていない気がします。仮面ライダーの迫力のあるアクションを見たいのに、画面が揺れすぎて詳細が全くわからない。
そもそもPG-12に設定されるほどの流血&殺害描写があって、それを本郷本来の優しい性格/生存本能による激しい戦闘の対比→暴力を振るう苦悩、という展開に繋げたいのであれば、ライダーの激しいアクションをはっきり見せるべきなのでは…?と感じました。
あと流血表現がある時点で、個人的な比較対象作品はアマゾンズに据えられたのですが、あちらほど尖った表現もなければ戦闘にスピード感も無く、とても中途半端な印象でした。

最も酷かったのは最後の0号との戦闘パート。手ブレ演出で揺れまくるうえに極めて暗い画面で、各人の立ち回りが全くわからない。加えてショボいアクションに謎のCGパワーで吹っ飛ばされるだけの1号と2号…正直見てて酔いました…
どこかで拝見したのですが、庵野さんのインタビュー曰く、庵野さんは幼少期、電波の悪いテレビで仮面ライダーを視聴しており、画面や環境が悪くて何が映っているかわからないが仮面ライダーが動いていればカッコいい!というノスタルジーからこの演出にされたそうですが、そんなもん観賞してるこっちからしたら知ったことじゃないですし、意味不明すぎます。

つまらないかと言われると楽しめるポイントもあったのでそこまででもないのですが、また観たいかといわれるともう一度は無い。
人にオススメすることもない。
そんな感じです。
りんと

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