恥と外聞

シン・ウルトラマンの恥と外聞のレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.0
※ネタバレ有り設定にしたくないので気をつけてはみましたがややネタバレあります。

まず一つ、一夜明けて段々腹が立ってきた納得がいかない点。
…せっかくIMAXで観たのに何ですか、この画質??
Webカメラの設定?
仮にそうだとしても全然分かんないよそんなことは伝わってこない!!怒
てかiPhoneて仮に4Kで撮ってもこのレベルなんか?
じゃあせめてマシなカメラ積んでるAndroidで撮ってくださいよ…。
※ちなみにCGの出来については今まで邦画におけるソレが優れていると思ったことは一回もないので、特に今更言いたいこともありませ〜ん。

はぁ。。
まぁいいです。
この時点で「良い映画」という観点での評価はやめにします。
なんつったってこれ、「ウルトラマン」なので。

斎藤工以外の禍特対メンバーの演技がキツい。
かなりキツい。
ギャラ全部山本耕史が持ってったんかってくらいマズい。。
ただ「良い俳優を揃えたのに勿体無い」と切り捨てるのも多分早計で。

日本映画での演技批評なんか掃いて捨てるほどあるからきっともうこれ上手い下手とかではなくて、脚本書いてた時期が『シン・エヴァ』制作と被ってたから?
なんとなくこれNERV本部だったらそこまで違和感ないだろうな、ってセリフが結構あった。
各人の顔が映るアングルにしてもそう。
(みんな鼻の形が個性的で面白かったな。)

思うにこの国でこういう映像を一定以上の満足感が期待できる形で造れる人達って他にいないですよ。
そこはもう間違いなく日本のトップ。
でも同時にそこで日本の限界にぶち当たってる気配もムンムンする。

だって『シン・ゴジラ』もそうだったけど、ここまで来てもうほぼほぼ当たるって分かってるのにシリーズ化する気が全くなさそうな構成って一体何考えてるんですかねって感じです。
こういう話始めると最早映画単体の感想とかではないんですけど。
まぁまぁ我慢ならない細かいテクスチャーの荒さってありますよやっぱり。
アメコミでもあるんだから邦画でそれが無いワケない。

それと、我々はちょっと『初ゴジ』『シンゴジ』を外星人よろしく神格化しすぎてたきらいがありますね。
いや、ホントに面白い映画でそれぞれ金字塔なんだけど、どんなコンテンツにも当てはめられる勝利の方程式を提示したものでは決してないんですよね。

そういう意味で『シン・ウルトラマン』に対する外野の期待ってちょっとミスリードだったんじゃないかなって思いました。

考えてみればそりゃそうだ。
「ゴジラ」は毎年映画館に観に行く非日常。
「ウルトラマン」は毎週テレビで観るお茶の間のヒーロー。
多分僕らの世代がそのオリジナルの感触を想像の範囲を超えて実際に感じ取ることは難しい。

(ちょっとご時世的にもこれまでの作品からの文脈的にも到底受け入れ難い下品な表現が挿入される意味が分からなかったんだけど、どうもそういう「テレビっぽさ」を何とかして表現したかった試行錯誤の末路?)

その意味で2022年における再提示として冒頭からのテンポの良さって必要だったし結構作り込んでたところだと思う。
いわば「これまでのエヴァンゲリオン」コーナー。

善悪の話ではないけど、全体を通して理解度、満足度を高めるために求められる前提知識がやや多いのも、映画シリーズとしての「ゴジラ」が恐らく非日常としてのイベントごととして客層の幅が元々ある程度広く想定されていた一方で、「マン」は日々次回放映を待つ固定ファン(=ヲタクともちょっと違うのかな)の期待に応える上で演出・小ネタを意識的に入れていく必要があったのかも知れない。

「Q」を「マン」以前の人類の戦いの前史として捉え直したのは素直に良かったですよね。

再解釈の観点で最後ゼットンが「光の国」の自演だったっていう設定も痺れた。
銀河中の外星人から見た地球人に対する処遇って考えると結構自然に受け入れちゃい(たくなる素地が我々にはあり)ますよね。
流石にデザイン・存在感はあまりに「ゴルゴダオブジェクト」っていうか「生命の樹」なんですけども。。

SF要素として『トップをねらえ』最終回のシークエンスもアツかった。
「ウルトラマン」という“人形”をそのまんまリアルとして撮っちゃうっていう独特かつ極めて特撮的なやり方を巧妙に融合させていたと理解したい。

で、僕が1番スカッとしたのは「登場後即スペシウム光線撃つ」ところかな。
「3分間しか戦えない理由だかなんだか知らんけどチマチマ格闘してないで最初から必殺技撃てよw」っていう本邦特撮作品のお約束をパラダイムシフトさせた(今更)点は地味だけど評価されるべきだと思う。
その後で申し訳程度にプロレスやってたけどいまひとつCGの質感がマッチしてなくて蛇足っぽく見えちゃったのが残念。
間伸びした愛嬌のある取っ組み合いとかは実はそんなに好きな方じゃ無いので、アクション自体はタイトでドライな感じで良かったです。

あと最後これだけ言わせてください。
『大怪獣のあとしまつ』、やっぱ観といてよかったですアレ。
まさかこんな感情になるとは思いもよらなかったですけどね!!

…まとめ?何と言えばいいでしょう??
全体的にやりたいことの多さとリソースの制約とがガチガチにぶつかり合って複雑な感情に苛まれる一本になったみたいですね。。

性としてはあーだこーだ書きたいんですけど、個人的にはわりとちゃんと「ウルトラマン」が観れたので実際そんなに文句は無いです。
でも映画としては普通にもっとこうやりようがあったんだろうというのは事実としてありますよね。
この1年待った期待に対するがっかり感というほどではないにせよ。

引き続き『ライダー』にも期待しています。