しんご

シン・ウルトラマンのしんごのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

オリジナルのツボも抑えた庵野さんの壮大な二次創作。自分でもびっくりしたのがザラブ星人との戦いでウルトラマンが現れ、お馴染みの戦闘BGMが流れた瞬間に涙で目が潤んだこと。幼少期から抱いたウルトラマンに対しての「畏敬」が感動の形で爆発した気がした。早見あかりの言葉を借りならばまさに「モノホン」。

個人的に今回の「シン」は「神」というのがテーマの様に思える。高度の生命体であるウルトラマンは人智を超えたその圧倒的な能力から本編でも神に近い存在と評価されている。そんな外星人たる彼が人間である神永と融合することで、最初は異質であった人間社会を理解し、やがて愛することが描かれている。

①ウルトラマンのお目見え(ネロンガ、ガボラ)→②外星人を上位とすることで地球人を滅亡、もしくは従える計画(ザラブ、メフィラス)→③「神」から自立を目指す人間の姿(ゼットン、ゾーフィ)の3部構成は、庵野秀明のウルトラマンに対する愛と彼に対する新解釈を同時に感じたし、その点で本作は新たな名作となったなと。ウルトラマンが人間社会に理解を示すストーリーテリングのためなのか、オリジナルで人間自体への不信感を描いたジャミラのエピソードを本作に持ってこないのは上手い。

①の後、世界各国の覇権争いに向けた「ウルトラマン争奪」の各国暗躍が起こるのは物凄い現代的だし、「シン・ゴジラ」に続く世界観ぽい。余談だが、メフィラス役の山本耕史とウルトラマンが浅草で飲むちょっと異質なシーンはウルトラセブンの「狙われた街」でセブンとメトロン星人の対話シーンをやや彷彿とさせる。

ただ、③の人間側の奮闘ドラマが薄くてやっつけ感が強かったのが残念。自立といいつつ、そんな活躍してないじゃん的な。あと製作陣のフェチなのか、長澤まさみの性的要素強めな使い方は正直本編には不要だった。関係ないけど、庵野さんの描く女性陣はとこかアニメ的な感じがするね。

製作があるとすれば、ウルトラセブン版も観てみたい。
しんご

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