けーすけ

1917 命をかけた伝令のけーすけのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.6
2020/02/14(金) T・ジョイPRINCE 品川 シアター11 IMAX 2D字幕 21:35回にて鑑賞。J-10

アカデミー賞(オスカー)でも10部門でノミネート。作品賞は獲れなかったものの、撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門を受賞。
予告編を観ていた時から「コレなんか凄そう!しかも全編ワンカット!?」と気になっており、早速観てきました。

いやー、凄かった!1カットな見せ方という部分もあるのでしょうが、基本登場人物目線で物語が進行するので没入感がハンパない。可能であればIMAXでの鑑賞をオススメします。2020年、初頭から凄い映画多すぎー!!

尚、戦争映画という事もあって、死体、人体損壊な描写、突然の「ドカーン」でビクッ!とさせられたりするシーンや、ネズミさん(本物らしい)も登場します。ニガテな方はご注意を。

以下、つらつらと感想。核心ネタバレはないですが、物語の内容には触れますので未見で気にされる方は鑑賞後に読んでみてください。
特に鑑賞時の感情を左右する感想も含んでいると思いますのでご注意くださいませ。










「全編ワンカット!」と喧伝されてますが、正確には「全編ワンカット“風”」。
流石にこの規模の戦争映画を2時間近い内容で丸々1テイクでの撮影は不可能なので、長めのシーンの撮影をを繋いでいるようで。
ただ「ワンカット」が宣伝文句となってしまっており、どうしてもそっちに気を取られてしまったのが勿体ない感じも。

因みに1カット長回しというと最近では『カメラを止めるな!』がワンカット(前半部分)でゾンビ映画を撮ろうとした物語として記憶にありますね。
本当に全て1カットで撮影された映画もあるようですが、僕は観たことはなく…。ただ、ドラマでは三谷幸喜氏の脚本・演出で『大空港2013』というのがあり、ワンシーン・ワンカットドラマとして傑作ですので機会があればぜひ。



さて本作、ストーリーはシンプルで、1917年のフランス、一次世界大戦中の西部戦線が舞台。
イギリス軍の兵士スコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)が、上官からドイツ軍を追撃中の別部隊に重要なメッセージを届ける指令を出される。夜明けまでに部隊へ伝達できなければ、ドイツ軍の罠にかかって1,600人が全滅してしまうというもの。ドイツ軍の占領地をたった2人で駆け抜ける事に、、、。



全編ワンカットが全面に押されているゆえ個人的に「どうやって撮影してるんだ…?」ってのがかなり気になってしまい、前半は物語に入り込めませんでした。笑
所々で「あ、ここで(切って)繋いだな」って部分はあるのですが、それでもこれだけの物量・情報量の中、一体どうやって撮影したのだろう?と気になって仕方ない。きっと映像に詳しかったり好きな人は、ストーリーそっちのけで分析しちゃうかと。

物語序盤は塹壕の中を歩く主人公たちを前から撮ったシーンがメインで、嫌でも「1カット」を意識させられるのですが、話が動き出した中盤以降はそれほど気にならなくなってきました。
とはいえ、2人の道中で窪地の池の周りを歩くシーンを捉えたショットとか、地下塹壕で爆発に巻き込まれるシーンとか、壊れた橋を渡るシーンとか「一体どうやって撮影したんだー!!」って叫びたくなると思います(叫びたくなっても我慢我慢…)。


撮影監督のロジャー・ディーキンスはGIZMODOの取材で「(撮影は)観客には全部簡単そうに思ってほしい」と述べてますが、どこ観ても僕には簡単そうには思えませんでしたよおおおおお!!!

【ネタバレあり】どうやって撮影を成し遂げたのか、ロジャー・ディーキンスにインタビュー
https://www.gizmodo.jp/2020/02/1917-roger-deakins-interview.html

【ネタバレ】メイキング映像(一部) Movie Walker
https://youtu.be/KPiVozQj-bg


BGMも煽り過ぎず、重厚な感がありとても良いです。予告編でもあった爆撃の中、草原を駆け抜けるシーン、「どうやって撮影したんだ?」とBGMが相まってめちゃめちゃ心動かされましたよ…。


個人的に「うまいなあ」と思った演出注目部分としては、下手に回想を入れなくても伝わる「桜(チェリー)」。
もうひとつ、破壊された街中で、照明弾の明かりによる見せ方がめちゃゾワゾワしましたよ。




物語がシンプルで、ある種リアルタイムで進行するので登場人物にあまり感情移入ができなかったのが少し残念でしたかね。
あと、1日程の話を描いた内容で主人公たちは泥の中を這いずり回り、埃まみれ砂まみれ、水の中を行ったりでドロッドロのズタボロになっちゃいます。でも、最後に出てきた、とある小道具がびっくりする程キレイで「おいおいまじか!」って突っ込んだくらいかな!
ていうか伝令の手紙も頑丈なんだなあ…と←

それでも当時の戦争の生々しさを描いた内容としては凄かった。オススメです!


《2020/02/20(木)追記》
制作のインタビュー映像が公開されました。すげえ・・・!
鑑賞後にぜひ見てみてください。(鑑賞前には見ちゃダメ!)
『1917 命をかけた伝令』<異次元の没入感はこうして出来上がった!>11分超え豪華特別映像
https://youtu.be/sU0FScoQrxY


[2020-015]
けーすけ

けーすけ