おときち

1917 命をかけた伝令のおときちのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
3.9
よくもまあこれで【驚愕の全編ワンカット映像】(公式サイト)って言えたもんだ。
まぁサイトでもパンフレットでもちゃんと【全編を通してワンカットに見える映像】って書いてあるけど。
こういう宣伝はいかがなものかと。海外でも【全編ワンカット!】って言ってるのかな?


文句を言いたいわけじゃない。
そういう宣伝必要ないぐらい面白かったし、それ言わない方が「どうなってんのコレ?」って驚いただろうな。とは言え、そこが一つの魅力にもなってるからしょうがないか。
映画の宣伝って難しい。


これは劇場で観ないと魅力半減するやつ。
ストーリーは邦題サブタイトルにもあるように「命をかけた伝令」、それを伝えるという極めてシンプルなもの。シンプルなミッションだからこそ、あのワンカット風映像がハマるし、没入感ある。
しかし、このサブタイトルはいらないと思うなぁ。


良くも悪くもそのワンカット風な映像に意識を持っていかれてしまう。最初のうちは「ここ編集点だな?」とクイズを解くように観てしまったけど、途中からはそれどころじゃないし、気にならなくなる。

編集点と思われる所は多々あるけど、シームレスで違和感もない。そしてそのポイントを使ってうまく場面展開している感じ。
長回しを切れ目なく繋いでいるけど、確かに全編ワンカット風には見える。
どうやって撮影してるんだろう?とは思う。


長回しのため、少し前までいた場所が見えたりするので、移動した距離などについは観ているこちらでも実感があり、良い意味で疲れる。擬似体験したみたい。
常に呼吸音とともにあるので、それも効果的だった。
音楽も必要以上に煽らず、控えめで良かった。


第一次世界大戦を題材にした映画ってあまり多くない気がする。
戦争映画はいつ観ても「なんでこんなことを?」って思ってしまう。

国と国の争いだが、戦い命を落としていくのは政治家でも指導者でもなく、名もなき兵士たち。みんなまだ若く、家族のことを想ったり、戦争後のことに思いを巡らせる、どこにでもいる普通の若者たち。
なんだかな。この映画でもやるせない気持ちになった。必ず一般市民、女性や子供も巻き込まれるし。

観ている間に少し『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を思い出した。


語り部というかなんというか。監督の祖父から聞いた体験談がもとになっているとのこと。戦争がどれだけ悲惨で残酷なことなのか。こういう話はちゃんと聞いて、伝えていかなくちゃなと思う。そういう思いもあり、娘を誘ってみたら断られましたけど。


映画は始まってすぐに指令を受け、そこから緊張感のあるミッションに突入するので、俳優陣について「おぉコリン・ファース!」とか思う余裕がなかった。それだけ没入していたということだと思う。
最初のトラップのせいで、その後ずっと「何かある?大丈夫かな?」っていう緊張感が続いたし。

コリン・ファースもベネディクト・カンバーバッチも終わってから気がついたぐらいで。
ただリチャード・マッデンはすぐ分かったぞ。
ディーン=チャールズ・チャップマンも『ゲーム・オブ・スローンズ』に出ているようだけど、私が観ているシーズンではまだ出ていない。そのうち『ゲーム・オブ・スローンズ』でもお見かけできるだろうからそっちも楽しみにしておこう。


いつも通り劇場でポップコーンとドリンク買ったのですが、映画終了後、ポップコーンもドリンクもほとんど残っていました。
食べるのも飲むのも忘れるぐらい集中して観ていたってことか。
つまりは、それがこの映画の感想だな。