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マリッジ・ストーリーのたにたにのレビュー・感想・評価

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)
4.4
スカヨハとアダムの長尺夫婦喧嘩をとくと見よ!


女優として一躍有名になったニコール。
そんな折、舞台監督のチャーリーと出会う。お互いに惹かれ、結婚し、長男も産まれた。

チャーリーの演出する前衛的舞台に出演する女優ニコール。
同業者として、そして夫婦として、その両立と気持ちの行き違いから彼らは離婚寸前だ。

弁護士を訪ねた2人は、お互いに良い所を語り合う手紙を書く。気持ちの変化がそれにより起こる可能性を信じて。
しかし、ニコールの決意は固かった。

一人息子のヘンリーの親権を巡って、互いに話し合いは進まず、お互いに弁護士を雇って離婚調停に入る。

このお互いの嫌な部分を突いていく裁判は、2人の溝をさらに深めていき、夫婦としても友人としても、継続していくことが困難となっていきます。

今作品のスポットは、スカヨハ演じるニコールに当てられている。
女性がキャリアウーマンとして、やりたい事をやる、その正当さを示すよう。
裁判系のストーリーは、どちかに視聴者が共感するようにできている。息子はママの方が好きだし、ニコールの弁護士は、まさに現代のたくましい女性像を表しており、我々は、夫の意見に従ってきた可哀想なニコールへ意識を向けることになる。

しかし、アダムドライバー演じるチャーリーが述べたように、それを選択してきたのはニコール自身であることに違いはない。
結婚したのも、引っ越してきたのも、夫の舞台に出ることも、彼女の意思だ。
夫は夫で、息子への愛情は絶えないし、
仕事もかなり順調である。
確かに、自分勝手な面もあるけれど、息子を喜ばすためにハロウィンの準備でお茶目な面も見せる。

この作品の脚本の良いとこは、まさにそこで、ラストにニコールが書いた手紙をチャーリーが見つけるシーンでは、チャーリーは確かに結婚生活が幸せだったことを改めて噛みしめ涙したり、一貫して彼はどこか離婚せずに済むことを望んでいるようにさえ見える。それは息子と離れたくないだけ。。とも見えますが。


チャーリーを悪者として終着させない点に好感を持てました。
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