何とかならなかったのかと思いつつも、もうどうにもならなかったんだろうと思った。
付き合いが長いと相手に対して「この人はこういう時は何を言ってもムダ」という決め付けをしてしまい、何か思うところがあっても、その事を伝える前に諦めてしまいがち。
そして、一緒に暮らすようになると全てが日常になるから、出来るだけストレス無く過ごしたいと思うと、言い合いという軋轢を避けるようになりがち。
その辺りを意識せずになあなあで過ごしていると、モヤモヤの積み重ねでどんどん溝が出来ていき、気が付いたら取り返しの付かない地点まで行っていたりする。
最初は円満離婚っぽかったのに、弁護士が出てきてからは、親権を争って相手を蔑む言葉を連発していて酷い事になる。
その後に本人同士で話し合おうとして、「これはいい方向に進むのでは」と思わせておいてからの、それを上回るお互いへの罵詈雑言。悲しいなあ…。
映画冒頭に出てきた手紙をラストに朗読するくだりは本当に良かった。
後ろでスカヨハが聞いているのに、あえて声を掛けない演出も素晴らしかった。
そして元夫婦二人で子供を抱えて、元旦那のほどけた靴紐を結んであげる。
その所作は一緒に暮らしていた頃と同じように見えるが、その後にお互い違う方向へと歩きだす。
お互い歩みたい人生がある。時が経ってお互いの状況も変わっていく。でも根底には愛がある。
とてもいい余韻が残る綺麗な終わり方だった。
色んな離婚があるので、ちょっと綺麗過ぎる気もしたが、これも1つの形なのかな。