空海花

娘は戦場で生まれたの空海花のレビュー・感想・評価

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)
4.3
自粛前の映画館レビューがようやくこれで最後です。


戦場はグレーだ。
アレッポの街並みは戦場の色に。
ここは前線ではないはず。
人々が生活を営む場所だ。
彼らは武器を持っていない。
でも明らかに戦っている。
ここで暮らすために。
包囲戦の只中に居た。

ドキュメントを撮ろうとする意思が、映像を作品にする。
撮影を始めた時には、監督は
ここで結婚をして、ここで子供を産むなんて
思いもよらなかっただろう。
こんなドラマが生まれたことに衝撃を受ける。
この映像が残ったことは、意志や生命力に根差した奇跡だ。

「子供は親を選べない」という言葉が幾度も胸に刺さる。
私は「子供が親を選んで生まれてくる」と教わったけれど、それさえもうエゴに聞こえてしまう。とても言えない。
赤ちゃんはいつでも希望になる。
でも母親がこの場所に産んだことを謝ってしまうのは痛いほどにわかる。
爆撃音に慣れて泣かない赤ちゃん。
だが誕生こそ生活と命の始まりだ。

なんて不条理なんだろう。
戦争や紛争はいつでもそうだが
この時代にもまだ解決していない中東の流れは
嫌悪感しかない。
アラブの春はあまりにも多くの国に影響を与え、民衆に影を落とした。
反発からのデモや暴力は好ましくはないが
そもそもの原因はあの地域だけの問題ではないと思う。
支持したり手を引いたり、挙げ句市民の爆撃にまで手を下す国々がある。
反政府勢力を外に追いやり、国を組み直すやり方。そのために人々が培った多くの文化をぶち壊す。
それを失って、いったいどこからやり直す?
何が国家だ、何が政府だと思う。

私達の国は人命は等しく平等で平和なことに美徳を見出しているので、同意できない部分もあるだろう。何よりも人の命を大切にすることが通用するのは豊かさと平和があるということかもしれない。私も命は何より大事にしてほしい。それでも生命は生活に根差すし、生まれた場所に息づく。多くのものを含むことを忘れないでほしい。
文化は人の命より遙かに長い。
文化が人の心と社会を豊かにする。
心には残る。忘れなければ。
形のない大切なものも大事だけれど
心は形あるものにもある。
残念ながら日本ではもう少し説明がないと
この映像を理解することは難しい。
日本人記者もここで亡くなったのではなかったか。
私の言葉も支離滅裂で
難しいやら頭にくるわで頭が破裂しそう!
文章がもっと訳がわからなくなりそうなので以上とします。


2020劇場鑑賞68本目/69


昨日病院予約が入っていたので行ってきました。
出入口で熱を測ってもらいつつ、手指のアルコール消毒を同時に促され、風邪症状がないか聞かれて、大丈夫の紙をもらいました。
これだけでも労力がかかりますね。
医療関係者の皆様には頭が上がらないです。
その横で「トリアージの方こちらです」という声が聞こえて、やっぱりちょっと怖くなりました。

帰りに映画館の前を通り、日付が空欄になったポスターを少し眺めました。
これは観た!これは観てない!観なくちゃ!
と寂しい気持ちを鼓舞しました。
空海花

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