Tラモーン

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人のTラモーンのレビュー・感想・評価

3.8
噂に違わぬ胸糞。


ソウルの病院で働く看護師のジョンヨン(イ・ヨンエ)は夫(パク・へジュン)とともに、6年前に失踪した息子のユンスを日々探していた。追い討ちを掛けるような悲劇が彼女を襲う中、憔悴しきった彼女にユンスの目撃情報が入る。そこで彼女が出会ったのは、子どもの存在をひた隠しにし、釣り場を経営する怪しげな家族と、彼らの肩を持つ地元警察官のホン所長(ユ・ジェミョン)だった。


これはなかなか、子どもを持つ身としては観るのがかなり苦しい。実際に子どもがいなくなってしまったらどうなってしまうんだろうか。想像するのもつらい。

"ユンスが戻ってきたらあの頃に戻れるかな"
"戻ろう"

そんな生活の中、ジョンヨンの支えだった旦那さんが早々にストーリーから退場してしまうのもキツイ。この作品、初っ端からとにかく容赦がない。

味方だと思ってた義理の弟は本当に最低…。

ユンスがいるという情報を頼みに訪れたマンソン釣り場がまたとにかく不審。どういう家族構成?みたいな違和感があるし、住み込みで働いているであろう輩も気持ち悪いしガラも悪い。おまけに幼い子どもが2人肉体労働にこき使われている。
ユンスの誘拐を疑うジョンヨンに対し、やたらと釣り場家族の味方をするホン所長も完全に腐敗しきった警察官。

"うまくフタをすればいい"

もしかしたら本当誘拐されてきた子どもなのかも…と心配する者が1人もいない異常なまでの無関心と、自分たちの生活を脅かしかねないジョンヨンへの排他的な自己保身。何を考えているかわからない彼らが終始不気味。あのニヤニヤしたデカい奴、本当にゾワゾワした。

母親の愛情を舐めていた彼らが招いた凄惨な悲劇。

"みんな無関心だった"


とにかく胸糞の悪い展開が続く作品だったけど、ラストシーンの希望の持たせ方と、こちらへの委ね方は上手かった。彼女は決して無関心ではなかった、と言える行動も素敵だな。

イ・ヨンエは『親切なクムジャさん』でしか観てないけどこういう役多いのかな…。
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