踊る猫

ウエスタン・スターズの踊る猫のレビュー・感想・評価

ウエスタン・スターズ(2019年製作の映画)
4.6
終始リラックスしたムードの語りと演奏。だが、そこには「ゆるい」「まったり」という言葉を簡単に寄せ付けないような、熱い空気感を漂わせた演奏がある。アメリカン・ロック界の至宝ブルース・スプリングスティーンはライブ・パフォーマンスにおいても定評があるが、ここでもその定評を裏切らない円熟/熟達した演奏と歌でこちら側を引き込む。果たして彼が語るのは彼自身が歌の主人公たちに仮託して歌うメッセージであり、引いてはブルースこと私たちの憧れのボスの人生哲学だ。それは相当な深みに達しており、なかなか真似できるものではないと舌を巻くしかない。こうした求道の人生に憧れてしまったりもする。だから悪く言えばその渋すぎる音楽性が若いファンを惹きつけないかもしれないのだった。それはそれでいいだろう。ボスの音楽はいつでもよそ者をウェルカムで受け容れる懐の深さがある。というか、そう信じたい私はまだまだ甘いのか。
踊る猫

踊る猫