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Redのyonemakoのレビュー・感想・評価

Red(2020年製作の映画)
4.5
「誰もがうらやむ夫とかわいい娘を持ち、恵まれた日々を送っているはず」という宣伝文句にはあっさり裏切られる。主人公塔子に夫が求めるのは「プロの女性がするサービス」だけだからだ。関係は一方的で理解はない。さして悪意がないのが救いがない。さらに義母に監視される生活。だから息ができる世界へ逃げ出そうとする。その全体の構図は凄く説得力がある。不倫とかSEXではなく女性の生き方についての話だとおもった。

映画を見て思い出したのは、フランスのノーベル賞作家フランソワ・モーリアック作(遠藤周作訳)の「テレーズ・デスケルウ」(「アメリ」のオドレイ・トゥトゥで映画化)。時代は違うけれど、愛のない息の詰まる生活で主人公は夫に毒を盛ろうとする。失敗して幽閉されるけどやがて自由な世界へ旅立つ。原作と映画の結末は違うようだけど、原作はさらに「テレーズ」に近いかな。

再開した昔の恋人、鞍田(妻夫木聡)が不治の病で死ぬというのはちょっと美味しすぎると思ったけど、不治の病で死ぬ役は今までは女性の定番だったから、そこが逆転しているのは新鮮で、今の時代の話になっている。
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