タキ

マトリックス レザレクションズのタキのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

三部作イッキ見してからのレザレクションズ。理解が追いつかないところもあるがそれはさておき気分的にはモヤモヤが晴れてすごくスッキリした。三部作では救世主だと目される白人の男性をすぐに愛するようになるヒロインがどうにも気持ち悪くて好きになれなかった。今回、そのトリニティがハイパーな力を得て復活しアイデンティティを確立してゆくのだ。前半、メタ的視点で語られ一見するとセリフパロディにもみえるのだが、世紀末に放ったマトリックスを見事にアップデートしていく。誰でも携帯電話を持ちネットに繋がる現代では裏の顔ももはや珍しいものではなくなってしまった。ネオとトリニティが仮想世界で与えられた役割ももちろん変わっている。ともに周囲に振り回され心理的に逃げ場のない抑圧された状況だ。トーマス(ネオ)はゲームデザイナーとしてレジェンドともいうべきゲームmatrixを作ったものの上司から続編制作を強要され悩んでる中間管理職のオジサンだし、ティファニー(トリニティ)はミソジニー全開の高圧的な夫とホモソ全開の息子1、レゴを鼻に入れてみる理解以前のイキモノ息子2に振り回され自分の時間すら満足に持てない人妻という立場。そんな中でのプラトニックな恋愛が逆にふたりの繋がりを強烈に意識させ、かつては誰かにセッティングされたかのように都合よくその場にいて白人男性と対になり犠牲になるしかなかった彼女にはじめて血が通い物語が生まれる。アナリストがふたりにに与えた仮想世界はウォシャウスキー監督が男性の姿をしていた時に経験してきたものがベースになっているのではないかと思う。マトリックスの続編を作れと言われるのもミソジニーに遭遇した時もどっちも歯噛みするほど悔しかったに違いない。だからこそしぶとい上司もアナリストもブッ飛ばす展開は気分爽快だ。ふたりで空に虹のかかる世界を構築しようと飛び立つネオとトリニティに心が震えた。もしかしたら三部作も彼女が救世主だったのかもしれないと思ったら愉快になってきた。こんなラストが用意されていたなんて最高だ。
最後にポストクレジットシーンが挟まれ同僚がバズる動画の話をしている。キャットリックスとは強烈な皮肉なのだが、ネコチャンがバレットタイムで弾よけちゃってるシーンを想像して可愛くて笑ってしまった。
18年ぶりのネオ役だというのにまんまジョン・ウィックの風体でやってきたキアヌリーブスがまた最高だったこともお知らせしておきたい。昔は白い肌に青髭がいつも浮いていて髭剃りが大変そうな感じだったけど今回は昔によせてヒゲを剃るとか衣装のことを考えてシェイプアップしようなどと1ミリも考えてなさそうだ。意に染まぬままに救世主になったあの時から自由になった感が身体中から溢れ出していて、それはまた彼の生き方とリンクするところがあったんじゃないかとも思った。トリニティがミソジニーオヤジをブッ飛ばしてる間もニコニコ笑ってて可愛いったらない。彼のセクシャルな憶測に何にも答えない姿とダブって見えた。またネオ役やってくれて感謝しかない。ありがとう。


描かれた社会批判
https://virtualgorillaplus.com/movie/matrix-resurrection-explained/

ネタバレ解説&考察『マトリックス レザレクションズ』ラストとポストクレジットの意味は?
https://virtualgorillaplus.com/movie/matrix-resurrection-ending/

https://cinemag-eiga.com/entry/resurrections/

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モーダルとは?あの人物は何者?物語の本当の意味は?
これを読み“もう一度”本作を観に行こう! https://eiga.com/movie/92522/special/2/
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