この映画を、この映画の主人公である青自身が観たら、きっと僕らと同じように笑っていて、自分や、自分に関わる人たちのことを愛しく感じるのかもしれない
青に降りかかる色んな出来事を見て笑顔になる度、僕らが日々の中で感じるモヤモヤとか、イライラとか、不安とか、寂しさとかも、誰かにとっては愛しくて、笑ってくれるようなことに感じて、嬉しくなった
青と、青に関わる全ての人のおかげで、自分の今をもう少しだけ愛せるような気がする
僕らの日々の中に、ハッキリした物語やテーマなんて存在しないからこそ、青の日々をそのまま切り取ったようなこの映画は、他のどんな映画よりも僕らに優しかった
『街の上で』を観終わり、劇場から出てすぐにスマホを見ると、小学校の同級生によるグループLINEに、久しぶりに見かけるクラスメイトの写真がアップされていた
それを見て「ああ、ちゃんと生きてたんだな」と、妙に実感した
僕らの日々は映画にはならないだろうし、赤の他人からすれば存在しないものに等しい
けど、この映画のコピーや内容が伝える通り、自分の日々も、誰かの日々も、見えていなくたって確かにそこに存在してる
映画は、全くの架空でも、実話がベースでも、誰かの人生を掬い上げて大勢の人に伝えるものに違いはない
それがどれだけ尊く、同時に繊細なことであるかを、もっと考えたり、感じたりしたいなと、あらためて自覚したように思う