イライライジャ

きっと、またあえるのイライライジャのレビュー・感想・評価

きっと、またあえる(2019年製作の映画)
3.5
受験に落ちた息子が負け犬のレッテルを恐れて自殺未遂。快復は厳しい状況の息子に、かつて自分が大学時代に「負け犬」と呼ばれていた寮に属していた話をし、当時のメンツが病室に再集結していく。

主演のスシャント・シン・ラージプートが日本公開直前に自殺したことを考えると涙なしには見られない。
インド映画業界ではスターはほぼ必ず親や家族も映画業界者なのが当たり前のなか、スシャントは一般から努力でスターに上り詰めた俳優。(これはわりと少なくて有名どころだとシャールクやラジニ)
自殺理由は誰にも分からないが、活躍をよく思わない縁故主義の奴らから圧力や批判などがあったんだとか。

「結果より努力したかが大切」という本作のテーマ性と、エンディングの「生きているだけでいいじゃない」という歌詞が現実とリンクしてしまい、スシャントを想うとあまりに居た堪れなくなってしまった。

そのような背景もあり、まともに評価出来ないのだが、正直映画自体はそこそこ面白かったけど惜しい。
韓国映画の『サニー』に似てるけど全体的に物足りなくした感じ。

あくまで息子を元気づける物語だからか、寮の仲間たちが現在は何をしていてどんな苦労をしてどんな人生を歩んできたのかが全く描かれない。
長年連絡を取っていないのに、この期に及んで仕事投げてまで息子の気をかけてくれるのが不自然。
不滅の友情の物語ならば、現在の彼らにも焦点を当ててほしかった。
それに大学生活を美しく描きすぎていて現実味がないし、感動物語にしたい気持ちが全面的に溢れ出ている。普通に感動したけど感動させられている感覚があった。

とはいえ、スシャントの演技は素晴らしい。
本当に惜しい人を亡くした。