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ジョージア、ワインが生まれたところのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

3.5
ことし1月にジョージア映画「葡萄畑に帰ろう」を観て、この映画自体はそこまで胸に響くとは言い難かったのだけど(こら)、いち民家の納屋みたいなところの地中深くに埋められた甕でワインが造られている!?という描写に興味津々だったのです。本作はジョージア国内の醸造家を訪ねて回るドキュメンタリー、これぞまさしく知りたかったあれこれ。ありがたや。

ジョージアワインにおける甕はクヴェヴリと呼ばれるもので、5リットルほどの小ぶりなものから大人の背丈より大きなものまで種類はさまざま。本作をみる限り、日本の陶器製造現場におけるろくろのようなものは見当たらず全てフリーハンドで見事な円錐形を仕立て上げているような…?あれって、甕そのものを作るのはもちろんのこと、洗ったり乾かしたりといったメンテナンス以前にぶどう入れてかき混ぜるのも相当大変だろうな…実際そういう談話もあったもんな…そういうところが究極の自然派と呼ばれる所以でしょうか。

特にぐっときたのは、フランスからの視察団に「この葡萄はとても健康だ。どんな肥料を使っているんだ?」と訊かれた際、さんざん無視してはぐらかした挙句の答えがキレキレだったところ。「この国は何度も何度も侵略され続けてきた。この土地には我々の祖先の血と涙と祈りが染み込んでいる。他に何が要る?そちらの国には何がある?」…言葉を失うとはこのことかと。

この辺りを踏まえると、日本語タイトルはとても分かりやすく親切であるのだけれどやはり原題をそのまま使ってほしかったと思わずにいられないわけです。Our Blood Is Wine。
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