くわまんG

ラ・ジュテのくわまんGのレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
4.5
すごい。これだけでSFになってしまうのか。脳内補完って記憶改竄と似たような作業だからこうなるのかなぁ。はえぇ~…!

みどころ:
秘技“静止画時々動画”
埋めたい放題の“間”
ちゃんとクローズドエンド
好き嫌い別れる落とし方

あらすじ:
第三次大戦後。地上は汚染、人類の住処は地下に限定、残った資源は減る一方、このままでは滅亡必至。
そこで科学者達は知恵を絞り、「時空旅行による過去資源の収集」を画策。しかし見切り発車の実験は、失敗に次ぐ失敗。被験者は良くて精神破綻、残りは絶命。
だが今回の症例は一味違った。苦痛は訴えるが安定している。そしてついに、過去到達に成功したのだが……。

中毒性のある悪夢というか、快楽を伴う不愉快というか、暫く観たくないと思うんだけどすぐ観直しちゃいたくなる、不思議な29分であります。

何と言っても、スチール写真のコマ送りだけで、主人公同様観客の意識を曖昧にさせる演出、その威力にビビります。押井守の原点ですか…うんわかる気が笑

テリー・ギリアム最高傑作『12モンキーズ』の元ネタですが、こっちはかなりビターですね。人類の進化を願って作られたSFには、讃歌パターンと警鐘パターンの二つの伝えようがありますが、『12モンキーズ』が讃歌パターンで本作品が警鐘パターンですね。

史実と違い、実際に起こっていた必要が無い「記憶」はいくらでも上書きできてしまうので、『パプリカ』や『インセプション』でお馴染み、その担い手が他人でも成り立つという恐ろしさを、最小限のツールで描いててしかも美しいってもうね…離れ業ですねぇ♪