lololo

ファースト・カウのlololoのネタバレレビュー・内容・結末

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ちょうど最近「男二人が木の下で(多分射殺されて)死んでいる」というモチーフの映画を見たばかりだったので(そちらは実際の事件がテーマの同性愛映画「シチリア・サマー」。)、冒頭の原題のパートで女性から白骨遺体を見つけた場面で「この二人も死んじゃうの…?!」となった。最後に銃声もなく静かに終わる、だけど未来はもう決まっているというのがこの映画全体の雰囲気を物語っていた。

ひっくり返ったトカゲを助け、全裸で逃げてたキング・ルーを助け、立ち寄ったルーの家でじっとしていられなくて掃除したりお花を飾ったりしてしまうクッキー…。牛に優しく話しかけてたが故に懐かれてるのもわかる気がした。
ルーは野心家だし金儲け第一で、初めてクッキーが作ったお菓子食べても「いくらで売れるかな」とか言うけど、どこか雰囲気が洗練されてて知的で不思議な人だった。ドーナツの材料を「中国の秘密の材料」って答えたところとか、上手いなと思った。

とにかく全ての音が良くて、森を歩く音、夜の虫の音、川の流れや摘んだきのみが布の上に落ちる音、優しいジョン・マガロの声や超絶イケボのオリオン・リーの声、アンビエントフォークな劇伴がとても心地よかった。(それと同じく、喧嘩やいびきみたいな不快な音もちゃんと拾われてるという平等さよ。)

ストーリー自体はそんなに劇的ではないし、一つ一つのシーンの時間の進み方がリアルに近いので(歩いたりきのこ採ったりする場面なんか特にそう)、この雰囲気が好きな人にはハマるしそうじゃないととても退屈な映画なんだろうなと思った。

中国人のキング・ルーが英語堪能なのに話してることをやんわりとイギリス人の仲買商と将軍みたいな人に無視されるとか、現地の人にほぼ通訳しないで会話するとか、静かに不快な白人を表現してるのがリアル。
スッと出て来て存在感放ってるトビー・ジョーンズ、流石よな。。
lololo

lololo