漫画もアニメもドラマも好きで良かった！アイドル映画か〜とか英勉か〜と敬遠している人にも、とりあえず観てみて！と勧めたくなる作品。
英監督の演出方法が、原作の雰囲気とベストマッチ！世界観がフィクショナル過ぎる＝駄目な作品 とするのは時期尚早で、普通に良作だと思う。
同監督の『賭ケグルイ』や、同じ深夜ドラマ枠の『荒川アンダーザブリッジ』のような手触り（『帝一の國』っぽくもあるかも）は劇場版になってもしっかり引き継ぎ。学内に数百に及ぶ部活・同好会が乱立しているギャグはおそらく「名探偵 夢水清志郎事件ノート」シリーズの影響があるのだろうけど、それ自体が『映像研 ~』の世界観を支える必然的ギャグになっている。総じてリアリティラインを下げる方向でのクオリティコントロールがめちゃくちゃしっかりしている。むしろこうしないと、映像研メンバーのキャラデザが成立しない。
漫画でも面白かった「創作を行う上でのリアルとフィクションの境界」の話など、押さえるところはちゃんとそのまま面白い。人型ロボットをかっこよく見せようとすると技術的に不可能なコトとか物理的に不都合なコトが起こるよ....みたいな言い合いが延々繰り広げられる。純粋に、ものづくりの途中経過を覗き見できる感じが今作のストロングポイント！『バクマン。』『SHIROBAKO』『映画大好きポンポさん』等の作品群と同じようなクリエイター賛歌としての色合いが相当強い。ラストのある映像作品を発表するシーンでは創作に携わった全員が輝いているようで、信じられないけど泣きかけた。
好きなことを追求するオタク賛歌。全てのアニメ、コンテンツを愛する人へのラブレター。
単にアイドル映画と片付けるには勿体無い、し、実写版きっかけでアニメや漫画にも興味を持ってくれたらそんなに嬉しいことは無い....。因みにタイトルコールまでの冒頭20分で世界観の説明をしてくれるので、ドラマ未観でも行ける。
その他、
○ 浜辺美波と高嶋政伸のバカみたいな無駄遣い。
○ 満を持して音響マニア・百目鬼の登場。SEの演出の数々は、映画館で聴いたらより迫力あって楽しかったんだろうな〜。あれこそ映画化の醍醐味！
○ 浅草みどり＝宮崎駿、金森さやか＝鈴木敏夫、と言われているらしい。
○ アニメ版は主人公・浅草みどりの吹替を伊藤沙莉が演じており、イメージに完璧にハマっていたのでめちゃくちゃオススメです！浅草氏らの妄想に入るパートでは、実写版と違って水彩画的な演出が施されており、その辺りの違いも注目。湯浅政明監督なので間違いない。
○ 全6話のドラマ版&劇場版で進んだストーリーは単行本にして僅か2巻ぶん。続きやってほしい....。
○ 今作で、福本莉子のファンになった人は多いはず！
