Ren

ようこそ映画音響の世界へのRenのレビュー・感想・評価

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)
4.0
超良作。やっぱり映画が好きである以上、こういうドキュメンタリーは定期的に吸収しておきたいと思った。裏方お仕事映画の決定版。

「音響」「音響編集」が映画にもたらす恩恵と影響について学ぶにはうってつけの94分。今作を映画と呼ぶにはかなり教材の色合いが強くもあるのだけど、扱っている題材が「音」という究極に映画的要素である以上、超映画的な映画になっていた。
自宅で観てごめんなさい。映画館の音響設備で観るべきでした。

エジソンの蓄音機発明まで遡り、そこから人類と音の歴史を乱れ打っていく。ドキュメンタリーが苦手でも全く問題無し、往年の名作や巨匠たちが1分毎に映し出されるため、そういう意味でも楽しめた。

『市民ケーン』から「スター・ウォーズ」シリーズ、『トイ・ストーリー』、『インセプション』まで、その裏側に隠されたこだわりが興味深すぎるため、今作で少しでも取り上げられた作品は未見のものもそうでないものも全て観たくなってしまった。『トップガン』で、収集した実際の戦闘機の音が意外と地味だったから動物の鳴き声を混ぜて鋭くした、という話が好き。
『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』を未観賞なので、なるはやで観たい。

「映画の半分は音」という言葉の通り、我々も世間ももっと音響に触れて映画を語るべきなのかなと考えるきっかけになった良作だった。こんなプロフェッショナルの仕事を見せられたら、アカデミー賞で録音賞を始めとするマイナー部門をコマーシャル中に発表します、生放送での発表を取りやめます、がいかに不誠実なことであるか気がつく。
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