ドント

犬、走る DOG RACEのドントのレビュー・感想・評価

犬、走る DOG RACE(1998年製作の映画)
4.0
98年。おもしろかった。とてもよかった。シャブもやっちゃうド腐れ刑事&その愛人の中国人女&たぶん警官の腐れ縁的友達で女に惚れてる韓国人手配師?らが、90年代の新宿の、雑多で猥雑な都市の暗がり・スキマで繰り広げる無法のドタバタ喜悲劇。
くどくどしい説明はない。汚い街の中を欲と脅しに駆られた「犬」どもがブワーッと走る勢いまかせの110分で、韓国映画のような暴力性と前のめりさと、邦画っぽいせせこましさと無情感、そしてなんだか貧乏臭いエロが画面いっぱいに疾走しまくる。そこにちっぽけな片思いと小さな友情が風のように心をよぎる。泣かせる。
2018年よりもだいぶゴチャついた新宿の街はまるで日本であって日本でないよう。ゲリラ撮影のパワーもあろうが、空気がプンと臭ってきそうなそんな映画。刑事役の岸谷五朗が最高。そして情けなーい、しょぼーい、弱ーい野郎の大杉漣が本当にいい。大杉漣はこういうどうしようもなく人間臭い役が本当に似合う人だった。どん詰まりだけど開放的で、ヤケクソな爽快感に満ちた作品。よいものを見た。
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