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すばらしき世界のmingoのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
3.9
西川映画の毎回凄くて感心ばかりしてしまうのは映画に対して抜かりなく「真摯」だというところ。誠実な人柄なんだろうと映画を通して分かる。中野映画を観た後だからこそより強く。特に巧みだったのは任侠的自分らしさを失う場面の代償を現代の闇と共に残酷に描き切る後半、「ゆれる」でもお馴染みいやそればかりか切れ味は増すばかりのナイフで抉ってくる…鑑賞者の心を抉ることに決意と意味を持って描く唯一の社会派、それでいて細かい観察と長い時間を伴った「労働」を描ける貴重な現代邦画監督である。
また日本映画の宝をやり続けて何十年のレベチ広司は言わずもがなスクラップアンドビルド再生を続ける最高役者なんだけど、一匹狼である彼に「気づき」を与える脇役が素晴らしい(もはや脇ではない)。50.60.70年代邦画黄金期の映画をそこそこ観てる身としてはその時代の映画みたいにきちんと配役を出来てる映画て現代映画だとそこまで無いのだけど、西川映画のキャスティングはもうその人しかおらんと思わせてくれる。キムラ緑子の「シャバは我慢の連続ですよ、我慢のわりにたいして面白うもなか。やけど、空が広いて言いますよ」がやたらと心に染み渡るね。家の近くの飲み屋によく六角精児、来るみたいなのでお会いしたら色々お話しききたい…長澤まさみは過去一嫌な女役だったな…
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