ジェイコブ

弥生、三月-君を愛した30年-のジェイコブのレビュー・感想・評価

2.3
幼なじみの太郎と弥生には、高校時代にエイズで亡くしたサクラという親友がいた。サクラは太郎に想いを寄せていたものの、自身の病気を理由に想いを伝えられないままこの世を去っていた。太郎と弥生は、サクラと死ぬ直前に交わした「このまま変わらずに生きていく」という約束を胸に、それぞれの人生を歩み出す。やがて時は流れ、あらゆる問題に直面してサクラとの約束を忘れかけていた二人のもとに、サクラが残したカセットテープが届けられる……。
波瑠と成田凌主演のラブストーリー。本作を簡潔に説明をすると、東宝が年に1、2本作る、芸能事務所が売出し中の若手俳優を使った所謂お涙頂戴のエンターテイメント作品。
まず何より、震災、エイズ、放射能といった題材を何一つ上手く活かせず、無闇矢鱈に時系列をいじむため、いたずらに混乱させられただけでなく、描かれている人物達にリアリティが一切感じられない。そもそも太郎と弥生に多大な影響を与えるような印象がないため、二人が「サクラとの約束が……」なんて言う度にもやもやしていた。まだ「きっとうまくいく」のランチョーのように周りの友人の価値観を変えるような強烈な個性とカリスマ性があれば納得できるが、サクラは不運にもエイズにかかり、若くして命を落とした薄幸の少女というだけである。
冒頭から「あ、苦手な映画だな……」と思いながら見ていたけど、脚本監督が遊川和彦と見て納得してしまった、そんな映画。