タカシサトウ

第七の封印のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

第七の封印(1956年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

[この世の終わりに生きる意味と神の存在を問う]

 なかなか素晴らしかった。

 主人公の騎士アントニウス(マックス・フォン・シドー)が、死神(ベント・エケロート)に死を宣告され、生きる意味と、神の存在を問う。神の存在を問うのは、イングマール・ベルイマンの作品には何度も出てくるテーマだ。

 十字軍というキリスト教の為の無意味な戦い。そこからやっと帰る途中のアントニウスが、神の存在を問うのも分かる気がする。そして、チェスの勝負によって死神に猶予を貰おうとするのもとても面白い。

 そしてこの死神を演じたベント・エケロートが真に迫っており、何度も観てるが忘れられない。この死神に騎士は死を宣告されるし、従者達も道連れに黄泉の国へ連れて行かれてしまう。異様な修道僧達がペストは人間の罪の為だと言い、脅してくるかのようなのもおぞましい。

 しかし、まるでヨフの妻ミア(ビビ・アンデショーン)がマリアで、その子供がキリストを思わせる旅芸人の3人が、アントニウスの機転で生き残るのが希望になっている。イングマール・ベルイマンにとって、芸人であること、演劇や映画の世界を生きていくことが希望であり、生きていくことなのだと言っているようである。(2018.8.31)

 この作品の語り口と死神が役者以外の騎士たちを連れて行ってしまう流れが何とも言えず、凄かった。

 この映画の虚無のような今のコロナ禍にどう対処していくかは大きなテーマだと思う。この旅芸人一家のように希望を託せるものがあればいいのだけれど(2021.1.17)