群青

花束みたいな恋をしたの群青のレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.7
2021年劇場鑑賞1作目。


SNSで評価が高かったので鑑賞。

んまあ!良かったです!


評価が高い理由は鑑賞した方々の何かしらが劇中の麦と絹と共通項を見出すからであろう。そしてその共通、オレと・わたしと同じだ、という感覚が何度も襲ってくるからであろう。


男の子と女の子の出会い。
共通の話題、共通の嗜好、共通の価値観。
そりゃ好きにならないわけがない。

出会ったその日のドギマギも若い頃の恋愛のフワフワした感覚にとても近い。
え?これは?脈アリ?イケそう?いいんか?これはいいんか?という悶々とした自問自答笑

どうでもいいこと、些細なことが素敵な人と出会ってどうでも良くなくなる。
自分の周り全てが愛おしくなる。
恋を通してモノの見え方が一変する感覚は恋愛をした人なら誰もが感じるところだと思う。

二人の距離感が縮まるきっかけになるある監督が画面に現れた時は麦と絹同様、ブフォ!ってなった。こんな甘々な映画にあなた出るんですか⁉︎と問い詰めたくなった笑

しかし、このシーンで気になるところがある。
このシーンで槍玉にあげられるショーシャンクの空にだが、これを好きな作品としてチョイスすることが安直であるという雰囲気が嫌いだ!笑
ショーシャンクは悪くない!良い映画だ!と断言しておく笑
と思ってこのアプリで自分のレビュー見たら2.9だった。
あららー笑 観返そう笑
好きだから!笑

あと、あの部屋でもあそこでも(Hを)した、という麦の独白が清々しくもギャグで良い笑

好きな子とだったらそういうのあるよねー!

………あんの?え?あんのか?

あ?やんのか、コラ、あん?(血涙)



血の涙を流したことは置いておいて、今作はそれに留まらず、これ以上ない相手に巡り会えたのに、そこからどうやって不協和音を奏でていくのか、という過程までも共通項を見出してしまうところだ。

ちょっとした不満やちょっとした言い方・言葉が少しずつ不和となって積み重なるところとか。
疲れて余裕のない時に何かを聞かれてそれを適当に答えてしまうとか。

理想に生きてきた昔から変わって、現実を突きつけられ、なりたくないと思い続けていた現実に妥協してしまっている自分の存在に段々気がつくところとか。

個人的に自分は男性なので、男性性を見出さないと自分に価値がないと感じてしまうという焦燥感が辛い。
つまり古い考え方だが男性は働き、女性は家庭を守るようになって欲しいとか。


あとは、麦の疲れてしまって好きな漫画やゲームをするよりパズドラしか出来ない!というセリフ。
これは本当にそう。そうなんだよ。って頷くしかなかった。

当方はパズドラみたいなゲームアプリはしていないが、もっと簡易なゲームのアプリを暇があればしていた。
それをし続けても何にもならないのに。
終わりのないコンテンツの提供、作業性の高い操作性。これらが逆に容易にゲームという時間に繋がれるようになってしまったがために、時間と時間の合間に落ちてきてついついしてしまう。現実逃避をしてしまう。
読まなくては前に進まない漫画や、操作方法を学びながら目的を据えて思考しなければならないゲームと違って、指を動かしさえすれば完結するアプリは現代の麻薬と同義なのかもしれない。


話は逸れたが、そういう積み重ねが徐々に二人の間に距離が生まれていく。

まあそりゃ仕方ないよなとなるようなあっけなさ。
大多数が経験するであろう別れ。重いっちゃあ重いけ重すぎないのがよかった。これもまた現実。

というか二人が別れたのは(冒頭で既に別れているのでネタバレではないと思う)、二人とも好きなモノの話ばかりで自分の話をしていなかったからではないか?と思った。
描かれるシーンはほぼ全て自分の趣味嗜好に基づいた話ばかり。
ようやく話をしたのが仕事の話とか給料とか待遇とかの話。

甘々な時間でただただ甘々なことしか話さなかったんだな、って思う。
意図的にそういう部分が除かれているだけかもしれないが、人生は酸いも甘いも経験してそれを共有してこそ相手がわかると思う。
それを麦と絹は話してなかった。共有してなかった。

まあ実の所そういう部分を話していくのは、喧嘩するみたいなことでもあるからしんどいっちゃあしんどい。でもそういう時にこそその人の素が出てくるもんだ。
あとよくいうのが好きなことが一緒より嫌いなことが一緒の方が良かったりするんだよね。

絹と麦はそういう価値観のすり合わせをしてこなかった。


って結婚観や男女の価値観の違いがこの作品の焦点ではないのでキリがない笑


結局のところ、こんなシビアな話ではなく軽快さがウリなのでそれも含めて共感できる、あるあるみたいな部分が多いのがこの作品の良いところだと思う。
観終わった後、ああだこうだと語りたくなるような、あの二人は今だったら何をしてるかな?と思いを馳せたくなる魅力的なキャラクターだった。


最後に。
あの二人ならシン・エヴァンゲリオンだってきっと観ている。きっと誰かに語っているに違いない。ひょっとしてお互いがお互いどういう感想を持っているのか?と気になっているはず!

それに!オレも!混ぜてくれ!笑
群青

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