Ren

フロッグのRenのレビュー・感想・評価

フロッグ(2019年製作の映画)
2.5
こういう前後半でバチッと転調させる(ポスターにも書いてあるしこれ自体はネタバレではない)サスペンスは『ゴーン・ガール』が一つの金字塔を打ち立ててしまったので、どうしても比較して観てしまう。『カメラを止めるな!』のような低予算だからこそのアイデアや可愛げも特に見受けられず、つかず離れずで終わっていった。

何度も言うけど、映画で「どうでもいい」と思わせないでほしい。
何の感情移入も愛着も湧かない、物語の奴隷となったキャラクターたちが謎を振り撒いた後に謎を回収していくだけの97分。ただの謎解きゲームじゃないか。

前半、違和感が見せすぎなほど露骨に描かれるため、中盤の一つ目のネタバラシは「そうならなかったら嘘だよね...?」と思った通りのもの。そこから数十分がさすがに空疎すぎて、話進んでないからさっさと先進めーとしか思えなかった。

曰く開始45分が転換ポイントらしいけど、自分は明らかに開始67分だと思った。ようやく物語が予想以上の方角へ動き始める。
冒頭から父親と母親と息子の視点が雑然としていたが、終盤で主人公が確定し収束した点は一応満足。某人のあまりの無能バカムーブにも意味はあったのでよかった。

回収される爽快感だけのための違和感(伏線と呼ぶらしい)はもういいよーと思ってしまった。『アイデンティティ』に似た虚無感。



《⚠️以下、ネタバレ有り⚠️》










家に闖入者がいないと説明がつかない、前半の違和感の数々。その種明かしはフロッギング目的の若い男女2人が家に侵入した瞬間に済んでいるので、そこから20分以上に及ぶ違和感回収の時間がひたすら苦痛だった。

開始67分、妻の不倫相手を殺したのがあの若い男ではなく夫だったことが判明したシーンがようやく面白い(夫が誘拐犯だった、はフーダニットとしてはイージーめかな?とは思いつつ)。若い男女が視点人物から巻き込まれキャラに転ずる二段構えの展開はしっかりノれた。
ここで、襲われた息子を目撃してからしばらくの時間が、前半パートではごっそりカットされていたのも都合が良くて面白い。前半では息子発見後間髪入れずに夫と若い男の戦闘が始まる。

若い男が手に負えないお調子者のバカなのに、なぜかずっとシリアスな表情をしていた違和感の説明はラスト1分で行われる。かつて誘拐被害に遭った男は、ハナから誘拐常習犯の父親への報復が目的。思えばこの豪邸を見つけたのも彼だった。復讐成功エンド。

その他、
○ そんな都合良くフロッギングしている女性と出会えるかね。どこからが男の計画?
○ 彼女の死を目撃したシーンでカエルの仮面をつけっぱなしの男。表情の演技を信用していないのかな、と思ったりした。
Ren

Ren